九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。熊本県人吉市から情報発信しています。

神学

鹿児島で迎えた復活祭

鹿児島への出張三日目。今日はいよいよ復活大祭です。 復活大祭の祈祷は深夜に開式し、日の出前に終わらなくてはならないというのが正教会の定めです。聖書には、日曜日の夜明けにマグダラのマリヤらがイエスの墓に行った時、既にイエスは復活した後で墓には…

聖大土曜日 死から復活への移動日

今日は復活祭の前日の聖大土曜日。日本正教会用語では「聖大スボタ」といいます。スボタとは「安息日」を意味する教会スラブ語で、曜日としては土曜日のことですが、わが国では馴染みがない単語なので、私は一般向けの文章では「土曜日」と表記しています。 …

二人のマリヤにささげた週末

先週の土曜日は人吉ハリストス正教会で、大斎第五土曜日の早課と聖体礼儀を執り行いました。 この日は生神女(イエスの母)マリヤに捧げられた日であり、早課の中で司祭が生神女を讃美するアカフィストという祈祷文を朗読することから、「アカフィストのスボ…

生神女福音祭 そもそも「福音」って何?

私の住む人吉では、日中の気温は連日20℃を超え、桜もほとんど散ってしまいました。教会の敷地に勝手に生えている菜の花もすくすく成長し、雑草のレベルを通り越してちょっとした茂みのようになっています。第三者的に花を眺めている分には良いかもしれません…

信仰は権力に屈しない 正教勝利の主日

先週末は福岡に巡回していました。 www.youtube.com 福岡伝道所にはウクライナ出身の女性信徒が通っています。 彼女の故郷のドネツクは、まさにロシア軍に蹂躙されている地域です。わが人吉のように、不可抗力の自然災害だったならともかく、戦争という「人…

シリアの聖エフレムの祈り「兄弟を裁かせないでください」

いよいよ大斎(Great Lent)、つまり4月24日の復活祭を迎える前の7週間の準備期間に入りました。 「大斎初週」、つまり大斎に入って最初の一週間は特に重要で、「大斎初週祈祷」という一連の祈祷が朝から晩まで行われます。 もっとも修道院などとは異なり、…

最後の審判の判定基準は「隣人愛」

昨日は鹿児島ハリストス正教会で断肉の主日(Meat Fare Sunday)の聖体礼儀を執り行いました。 www.youtube.com 今年の正教会の復活祭は4月24日ですが、そのための約7週間の準備期間として3月7日(正確には3月6日の日没)から大斎に入ります。 キリスト教古…

祈祷文「天皇のために禱る」の意味

いま、ウクライナ情勢が世界の注目を集めています。 昨日、私の管轄の信徒から「ロシアとウクライナが事実上の戦争状態になりましたが、日本正教会にどのような影響がありますか」と問い合わせがありました。つまり、ロシア・ウクライナ二国間問題に対して日…

税吏とファリセイの主日 他人と自分を比べることは不幸の源

昨日は熊本ハリストス正教会で聖体礼儀を行いました。 www.youtube.com 教会暦は復活祭(今年は4月24日)の前の約7週間を、節制によって復活祭を迎える準備をする期間「大斎」(おおものいみ)とし、さらに大斎に入る前の3週間を大斎準備週間としています。 …

講演『イスラームと正教会』 盛況に感謝

先週の金曜日、2月11日に西日本教区の冬季セミナーが開催されました。 事前収録した私の講演『イスラームと正教会』をZoomでの参加者に視聴いただき、質疑応答するシステムです。 アヤソフィヤ(講演のパワーポイントより) www.youtube.com コロナ禍以降、…

神現祭の日に新たな挑戦

今日はユリウス暦で1月6日であり、正教会の大祭の一つである神現祭(Epiphany)の日となります。 神現祭とはイエスがヨルダン川で洗礼者ヨハネから洗礼を受け、三位一体の神の子であることを示した出来事(マタイ3章)を記念する祭です。 イコン「主の洗礼」…

新年の辞「義の日を拝み、上よりの東を悟る」

新年明けましておめでとうございます。 本年もよろしくお願い申し上げます。 今朝は妻と球磨川べりに初日の出を見に行きました。 明日は日曜日で祈祷がありますから、どこか遠くに出かけるつもりはなく、またこちらで初日の出を見たことがなかったので、昨夜…

嵐の海へ 船舶成聖式顛末記

今日はいよいよ長崎でのギリシャ船籍の新船「アトランティック・ホーク」の船舶成聖式。 昨日場所を確認した渡船乗場に正午に来いとの指示です。 それで午前中は雨の長崎の街をのんびり散策していたら、施主(神戸の外資系船会社のギリシャ人社長)から電話…

今日は生神女進堂祭

今日から福岡と小倉に3泊4日で出張しますので、しばらく投稿はお休みです。いつものように福岡で日曜日の聖体礼儀を行うのに加え、小倉でも集会ができるように候補地の下見をして来ます。 ちなみに今日(ユリウス暦の11月21日)は、正教会の十二大祭の一つ「…

ペットとの別れをどう考える? 

昨年10月、15年以上飼っていた愛犬のほたるが死にました。 人吉で共に過ごした最後の1年は認知症が進み、介護が大変でしたが、安らかに天寿を全うさせてやることができたと思います。 frgregory.hatenablog.com ほたるが死んでちょうど1年となる先月、火葬の…

教会での結婚式の準備!

今度の日曜日は人吉ハリストス正教会で婚配式(正教会の結婚式)が行われます。 カップルは福岡伝道所所属のオーストラリア人女性信徒と、先々週に洗礼を受けた長崎市在住の男性です。 福岡伝道所は狭すぎて(正味6畳ほど)婚配式を執行するのが不可能なので…

キリスト教で11月は死者の月?

今日は唐津くんちが2年ぶりに開催されるということで、人吉から片道3時間かけて見に行くつもりでいました。 7月に唐津を訪ねて曳山展示場を見学して、これが実際に祭で街をパレードするところをぜひ見たいと思っていたからです。 frgregory.hatenablog.com …

生神女庇護祭 神でないマリヤになぜ祈るのか

10月14日(ユリウス暦の10月1日)は、正教会独自の祭日である生神女庇護祭(しょうしんじょひごさい)です。 この祭日は10世紀に起きた生神女庇護の奇蹟に由来するものです。 10世紀初め、ビザンチン帝国はイスラム諸国の度重なる侵略を受け、首都コンスタン…

「永遠の記憶」と「幾とせも」 永遠と永久はどこが違う?

正教会では永眠した人には「永遠の記憶」(Memory Eternal!)、存命の人には「幾とせも」(Many Years!)と、祈りの言葉が決まっています。 どちらも平たく要約すれば、神がその人をいつまでも変わることなく覚えてくださいますように、という意味になります…

生神女誕生祭 満開のヒガンバナと中秋の名月で迎える

9月21日(ユリウス暦の9月8日)は、イエスの母マリヤの誕生を記憶する生神女誕生祭(Nativity of the Theotokos)です。 ギリシャやルーマニアなど、教会暦にグレゴリオ暦を採用している正教会では、暦どおりに9月8日が祭日となります。もちろんカトリック教…

トルストイの「破門」とは何だったのか

今日は私たち夫婦の結婚記念日です。 もっとも、妻は昨日が二回目のコロナワクチン接種だったので、副反応を考慮してお祝いはささやかながら先週末にしました。肝心の副反応は現時点で全くないのですが(笑)。 さて9月9日はロシアの文豪・トルストイの誕生…

エルサレムの神殿 ユダヤ人の信仰のアイデンティティ

本日、9月7日は西暦70年、ユダヤ戦争においてローマ軍がエルサレムを占領した日です。 西暦66年、ローマ帝国のユダヤ属州総督がエルサレムの神殿の宝物を略奪したことをきっかけに、ユダヤ人による反ローマ暴動が発生しました。エルサレムの神殿は当時のユダ…

生神女就寝祭 マリヤはこの世で死んだのか死んでいないのか

8月28日(ユリウス暦の8月15日)は、イエスを生んだ母マリヤ(生神女)がこの世での生涯を終えて、眠りに就かれたことを記念する生神女就寝祭(Dormition of the Theotokos)です。 正教会では最も重要な祭日である復活祭に次いで、12の大きな祭日があり、十…

主の変容について

8月19日(ユリウス暦の8月6日)は、主の変容を記念する「主の顕栄祭」です。 主の変容とはマタイによる福音書17章、マルコによる福音書9章、ルカによる福音書9章に共通して書かれている出来事です。 イエスは弟子たちのうちの三人、ペトロ、ヨハネ、ヤコフを…

神でない聖人たちをなぜ敬い、祈るのか

今日は鹿児島ハリストス正教会で聖体礼儀を執り行いました。 毎年の教会の典礼のカレンダーは、常に復活大祭(今年は5月2日)が中心となり、その前の7週間の「大斎期間」と、復活大祭後7週間の「五旬祭期」があります。つまり、キリスト教信仰の根幹を成す「…

初代京都の主教 聖アンドロニク

昨日、6月20日は「神品致命者・ペルミの大主教聖アンドロニク」の祭日(記念日)でした。 彼は最初の京都主教であり、わが西日本教区では、主教座である京都ハリストス正教会の聖堂建立100周年にあたる2003年に、日本語で「初代京都の主教」という文言を入れ…

聖五旬祭(ペンテコステ) 聖霊と教会 

今日は復活大祭から50日目の「聖五旬祭」(ペンテコステ)。正教会では復活大祭に次ぐ12の大きな祭日「十二大祭」の一つです。 人吉ハリストス正教会で聖体礼儀に引き続き、使徒行伝2章に記された聖霊降臨を記念する聖五旬祭主日晩課という特別な祈祷を行い…

主の昇天は復活祭の「千秋楽」

本日、6月10日は5月2日の復活大祭から40日目。キリストの昇天を記念する「主の昇天祭」です。 復活大祭は必ず日曜日と決まっていますので、必然的に昇天祭は木曜日となります。一般論として人々が教会に来るのは平日より日曜日の方が多いので、どうしても昇…

九日祭パニヒダ 教会はどういうサイクルで法事(?)があるの、とお尋ねの方へ

一昨日、福岡伝道所の所属信徒でウクライナ出身のイリナさん(仮名)から電話がありました。 6月1日にウクライナにいるお母様が永眠し、葬儀は現地で終わっているのだが、九日祭と四十日祭のパニヒダ(永眠者への祈祷)を私に執行してほしいと言うのです。 …

コンスタンティヌス大帝 世界史の授業でちゃんと教えていないこと②

今日はコンスタンティヌス大帝の話の続き。彼が天下統一に成功してローマ帝国の最高権力者になった後のことです。 コンスタンティヌスはまず、首都の移転に着手しました。 ローマ帝国は元々、イタリア半島の都市・ローマからスタートして大国になりました。…