九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。2019年から九州全域を担当しています。

福岡で初めての顕栄祭 私たちの「変容」とは

一昨日は福岡ハリストス正教会で、主の変容(マタイ17:1-8)を記念する顕栄祭の聖体礼儀を執り行いました。

実際の祭日は8月19日(ユリウス暦の8月6日)ですが、福岡教会は遠方から参祷している信徒が少なくないので、他の祭日と同様、日曜日にスライドして聖体礼儀を行っています。

なお、これまで福岡が巡回地だった時は、顕栄祭と福岡巡回日が日程的に合わなかったので、福岡では顕栄祭の祈祷が行われていませんでした。

つまり今回が初めての「福岡での顕栄祭」となります。


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聖書の記述によれば、イエスが弟子たちの中からペトロ、ヤコフ、ヨハネの三人を連れて山に登り(聖書に山の名前は書かれていませんが、教会ではエルサレム郊外のタボル山としています)、そこで光輝く姿を示しました。この出来事を「主の変容」(Transfiguration of the Lord)と呼んでいます。

イコン「主の変容」(19世紀のもの。鹿児島ハリストス正教会から貸与)

神学的には、この出来事はイエスが次の二つのことを示したものと理解しています。

 

一つ目は、神は三位一体であり、イエスはその三位一体の神の子がこの世に来られた方だということです。

それは聖霊が光り輝く雲となって辺りを覆い、さらに天から「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者、これに聞け」という神の父の声が聞こえたという記述(マタイ17:5)によります。

 

二つ目は、イエスは旧約聖書で預言されたメシア(救世主)であるということです。

これはイエスが光り輝いた時、そこにモーセとエリヤが現れた、そして天からの声が聞こえた後、モーセとエリヤはいなくなってイエスだけが残っていた、という記述(マタイ17:3と8)によります。

モーセは律法を代表する人物、そしてエリヤは預言者を代表する人物であり、この律法と預言書を総称してキリスト教会では「旧約聖書」と呼んでいます。

イエスはその旧約聖書に記されたメシア(救世主)だということを、旧約の代表者であるモーセとエリヤが証し、さらに天の父が「モーセでもエリヤでもなく、従うべき真の救世主はイエスだけだ」と告げた、と私たちは理解しています。

 

このように主の変容は、聖書に書かれた歴史上の「出来事」だったわけですが、それが私たちとどう関係があるのか。

それについては、パウロがコリント人への第一の手紙の中で書いています。

「わたしたちは皆、眠りにつくわけではありません。私たちは皆、今とは異なる状態に変えられます。最後のラッパが鳴るとともに、たちまち、一瞬のうちにです。ラッパが鳴ると、死者は復活して朽ちない者とされ、わたしたちは変えられます」(コリント前15:51-52)

 

つまり、イエス・キリストの死と復活を信じることで、私たち自身も世の終末において復活し、この世の姿とは違う姿に「変えられる」、つまり変容はイエスだけの話ではなく、私たちクリスチャンの将来の話でもある、ということです。

 

このように主の変容とは重要な意味を持つものですが、正教会ではその「変容」に関連して、「新たな収穫への感謝」、日本正教会用語の「新果新蔬の成聖」という習慣を受け継いできました。

というのは、種子が成長し、実りをもたらすという意味において、農作物の成長もまた一種の「変容」だからです。

それを実現させている神に感謝し、新たな収穫物(特にブドウを中心とする果物)を顕栄祭の時に教会に持ってきて、成聖するのが新果新蔬の成聖の趣旨です。

 

今回の福岡での初めての顕栄祭でも、信徒の皆さんにたくさんの果物を持ってきていただいたので、それを成聖しました。

信徒が持ち寄った果物

新果新蔬の成聖

もちろん、これらのフルーツは祈祷後に談話室で、参祷した皆で分け合って美味しくいただきました!

神学を思惟的、理知的にとらえようとするのは難しいかもしれませんが、正教会が受け継いできた伝統的な習わしの中で体感するなら、より易しいことでしょう。

その意味で、初めての顕栄祭で福岡の信徒たちは、「変容」を美味しく楽しく体感できたように思いました。

大地震発生後初めて熊本に巡回

昨日は熊本伝道所に巡回しました。

基本的に熊本には毎月1回巡回しており、8月9日に行くことは以前から予定していましたが、大地震が発生し、図らずも会堂の現地視察になってしまいました。

熊本の各信徒に被害がなかったことは電話で確認していましたし、熊本市内の被害譲許も10年前の地震の時よりは少ないと聞いていましたが、会堂は頑丈でない小さな小屋みたいな建物ですから心配なことは心配です。

 

いわゆるお盆休みの帰省ラッシュの時期であり、また普段でも熊本市の市街地の渋滞は全国でも有数のレベルなのですが、行きは高速道路も市内の一般道も不気味なくらいにガラガラでした。

被災地の渋滞が深刻で、緊急車両や支援車両の到着が遅れる問題が起きており、行政が熊本への「不要不急の外出」を控えるよう呼び掛けていたからでしょう。

 

伝道所に到着してみると、街の様子も会堂の外観も何も変化はありませんでした。

開錠して中に入ると、正面の宝座(祭壇)の上の燭台がひっくり返って中のガラス製のグラスが床の上に落ちていました。

グラスは幸いなことに割れていませんでしたが、燭台は細い部分が折れて壊れていました。接着剤でくっつければ大丈夫なレベルですが。

地震の揺れで倒れて破損していた燭台

他の什器部品類は全く転倒などしておらず、また本棚の書籍類や棚の中の割れ物なども全て飛び出していなくて無事でした。

 

一安心して妻と会堂の中を掃除し、聖体礼儀の準備を始めました。

 

しかし、聖体礼儀の開始時刻の10時になっても誰も教会に来ませんでした。

日曜日の聖体礼儀を勝手に止めることはできませんので、妻と二人きりで最後まで執り行いました。

 

参祷者がいなかったことは驚くに値しません。

熊本市在住の日本人の信徒は80代と90代の女性が三人だけで、全員要介護です。

つまり介助者がいなければ教会に来られません。

他には熊本県内在住で外国出身の正教徒が参祷することがありますが、彼らが確実に参祷するかどうかは分かりません。

そして何より、この日は大地震からわずか10日ほどしか経っていないのです。

私は日曜日に教会に来ることを「不要不急の外出」とは言えない立場ではありますが、このような状況下で信者の側が教会に行きたくても行くのを控えようと思うのは当然です。

 

聖体礼儀での重要な要素は「生者と死者の記憶」です。

つまり、聖体礼儀では捧げられたパンと葡萄酒が、人類を罪から解放するために十字架上で死んだキリストの肉と血に変わり、参祷者がそれに与ることで永遠の生命を獲得すると考えているのですが、その一方で教会に来ない人、さらには既にこの世を去っていて当然教会に来ていない人も存在します。

そういった人々に対しては、司祷者である私の側が「教会に来ていないAさん、すでに亡くなったBさんにもキリストの祝福がありますように」と、聖体礼儀が始まる前の「奉献礼儀」という典礼で対象者名を読み上げながら祈りを捧げています。

これが「生者と死者の記憶」です。

もちろん、今回の熊本での聖体礼儀でも、参祷した人は誰もいなかったけれども、「記憶」を通して神に祈りが届いているのです。

 

しかし何よりも、早く熊本が復興して人々が安心して生活を送れる状態を取り戻すことこそが最優先であることに間違いありません。

「信者が教会に来る」ことも、そういう日々の平穏があってこそ可能なのです。

その意味で復興が進み、いま被災地で苦難にある人々が一日も早く救われるよう、これからも祈り続けたいと思っています。

福岡で1年4か月ぶりに洗礼式!

7月27日に発生した令和8年熊本地震では、教会や信徒に直接的な被害はなかったものの、住んでいる地域が断水に見舞われている人々が少なからずいます。

水がなければ人間は生きられませんから、それこそ文字通り死活問題です。

早く何とかならないものかと、気持ちがやきもきするばかりです。

 

さらに交通網の問題が深刻です。

私は巡回での移動は基本的に車を使っていますが、九州自動車道が八代インター付近で複数個所破損していて、松橋インター(宇城市)とえびのインター(宮崎県えびの市)までの間が通行止めになっています。

鉄道も、新幹線も在来線もかなり激しい損害を受けていて、JR九州は8月中の復旧はできないと発表しています。

つまり、鉄道も代替の交通手段になりません。そもそも人吉は2020年の大水害以降、鉄道が通っていません。

そのようなわけで、福岡から八代以南にはどうしても行かれないのです。

 

人吉へは一般道で約半日かけて行けば行かれないことはないし、鹿児島には福岡空港から鹿児島空港まで飛行機で行くなら、やはり行かれないことはありません。

しかし時間対効果、費用対効果を考えたら全く現実的ではありません。

それで土曜日に、人吉と鹿児島への巡回をとりあえず9月末まで取り止めることにし、現地の信徒の皆さんに伝えました。

 

地震の後、そんな気の滅入るようなことばかりでしたが、嬉しいこともありました。

わが福岡ハリストス正教会で1年4か月ぶりに洗礼式を執り行ったのです。

受洗者は筑豊在住のマリヤさん(仮名)。25歳の女性です。

マリヤさん(仮名)の洗礼式

お母様のラリサさん(仮名)はウクライナ出身で、28年前に来日して日本人と結婚。マリヤさんや妹たちが生まれ、今も家族皆さんで暮らしています。

 

ウクライナでラリサさんは熱心に教会に通っていたそうですが、来日して福岡県に住んでみると、正教会がなくて残念に思っていたそうです。

生まれた子どもたちにも日本で正教会の洗礼を受けさせたかったのに、それができずに20年以上経ってしまったとのことです。

しかし、ネットで福岡ハリストス正教会の存在を知ったことで、ラリサさんから娘さんたちの洗礼について相談を受けました。

さらに、ウクライナからラリサさんの妹(つまりマリヤさんの叔母)のクセニヤさん(仮名)が一時的に来日しているので、彼女に代母を務めさせたいとのことでした。

 

結局、姉妹たちの中で洗礼の意思表示があったのはマリヤさんだけだったので(成人なので、いくら親が洗礼を希望しても本人が希望しなければ授けません)、マリヤさん、ラリサさん、クセニヤさんの三人に教会に来てもらい、直接会って互いにお話しすることにしました。

洗礼とは単なる儀式ではなく、教会という「人間同士の集まり」(ギリシャ語で「エクリシア」)に加わることなので、最低限互いに顔と顔を合わせてコミュニケーションすることが前提になければ意味がないと考えるからです。

 

本来なら成人洗礼なので、伝道会を数か月間実施して正教会の教えについて学んでもらい、受洗の意思を固めてもらったうえで洗礼を授けるのが筋です。

しかし、クセニヤさんが8月下旬に離日するまでに洗礼式をしてほしいとの希望でしたので、マリヤさんへの信徒としての教育をラリサさんに家庭内で行ってもらうことを前提にお引き受けすることにしました。

それで自分の巡回スケジュールと(この時点では大地震は起きていません)、ラリサさんらの都合をすり合わせた結果、8月1日(土)に洗礼式を執り行った次第です。

 

洗礼式は一時間近くかかりますが、ラリサさんはずっと洗礼式を動画に撮り続けていました。

事情は知りませんが、彼女は来日してから一度しかウクライナに帰っていないそうで、そのウクライナ在住のお母様(つまりマリヤさんの祖母)にその動画を送っていたのです。お母様は「信じられない」と言って大変喜んでいたそうです。

それはそうでしょう。日本の、それも九州に正教会があるなんて、向こうの人たちには想定外でしょうから。

 

マリヤさんは翌日の聖体礼儀にも参祷し、正教徒として初めて聖体、つまりキリストの体と血に与りました。

彼女の自宅から教会まで車で1時間以上かかりますが、この教会の存在が今後も彼女の人生にプラスになってくれれば嬉しい限りです。

 

ちなみに、一昨年に福岡新教会がオープンしてから成人洗礼は四人目ですが、マリヤさんを含めて四人全員が20代です。

若年層が多い教会というのは、日本正教会の中では少数派だと思いますが、わが福岡教会をこれからも若い皆さんに支えてもらいたいと思っています。

熊本で大地震発生

本日16時27分、熊本県中部を震源とする最大震度7の地震が発生しました。

2016年4月の熊本地震からちょうど10年を経て、社会の復興としては一つの節目を迎えたと認識されていたのですが、またほぼ同じ場所で大地震発生ということで、やり切れない思いで一杯です。

 

現地の信徒の安否確認を進めていますが、わかった範囲では被害に遭った人はいなかったので少し安心しているところです。

 

教会で最も被害が懸念されるのは熊本伝道所の建物です。

熊本伝道所(旧熊本ハリストス正教会)

目視で確認したいところですが、九州道も九州新幹線も不通なので、現地入りできるのは少し先になりそうです。

10年前の地震の時も倒壊しませんでしたので大丈夫とは思っていますが…

 

ちなみに福岡の震度は3でしたので、わが福岡教会にも私自身にも全く被害はありませんでした。よって教会活動自体はこれまでと変わりなく、執り行う予定です。

 

それにしても報道では、イオンモール熊本の爆発事故が報じられています。

ここは熊本県内最大級の商業施設ですが、建物が骨組みだけになってしまった画像を見ると本当にショッキングです。


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地震の揺れでガス系統が損傷したのかと想像しますが、中にいたと思われる数十人の従業員が消息不明とのこと。胸が痛みます。

 

被災地の方たちのご無事をひたすらお祈りしています。

東京での全国公会

先週末の7月11日(土)と12日(日)の二日間、全国公会(教団の年次総会)が東京・ニコライ堂で開催されました。

私もそれに出席するため東京に出張していて、今日福岡に戻りました。

ニコライ堂に到着

 

いつもなら、議場は教団本部の会館である「ニコライ会館」ですが、現在は会館の建て替え工事中のため、公会は大聖堂の中で行われました。

会館の建築工事現場

大聖堂内での会議

普段は聖体礼儀や冠婚葬祭など、宗教儀式でしか使われない大聖堂で会議というのは、なかなか見られない光景です。

もっとも、メモを取ろうにも会議机などないし、さらに正教会の聖堂内は飲食禁止なので、暑くて喉が渇いてもがまんしなくてはならないし、長時間の会議には向いていない環境でした。

新会館の完成は一年半ほど先なので、残念ながら来年も同じ状況です。

 

議事は3時間の予定が2時間で終わり、会議仕様に並べてあった椅子を片付けて17時から前晩祷。

聖歌隊から助っ人で歌ってくれと頼まれたので、久しぶりに司祷者側ではなく信徒側で祈祷に与りました。

前晩祷

日曜日は朝9時半から聖体礼儀。

全国公会時の聖体礼儀は日本正教会の24人の司祭全員が祈祷に立つわけではないので、聖歌隊でのんびり歌っていようと思っていたのですが、今年は陪祷者に指名されたので、教団執行部の先輩司祭らと共に府主教と聖体礼儀を執り行う側になってしまいました。

 

全国公会の聖体礼儀では、新たな聖職者の叙聖(任命)や昇叙が行われますが、今年度はそれらの昇格人事はありませんでした。

そのかわり、叙聖10年目のガブリエル神父とゲオルギイ輔祭にカミラフカ(帽子)などが授与されました(正しくは「佩用の祝福」という)。

ともにニコライ堂で奉職している後輩たちですが、このような形でキャリアを積んできたことを確認できて、本当に頼もしく思います。

ゲオルギイ輔祭にカミラフカ佩用の祝福

午後の公会二日目の議事も前日と同様、順調に進んで3時間の予定が2時間足らずで終わってしまいました。

セラフィム府主教による全国公会の閉会祈祷

 

さて、この全国公会は毎年7月第二日曜日とその前日に行うことになっています。

これは明治7(1874)年5月の第一回公会(当時の名称は宣教会議)において「毎年、ニコライ大主教の司祭叙聖日である7月12日前後に開催」と決められ、翌年の第二回公会以降、150年以上続いているのです。

この全国公会のあり方については、今回セラフィム府主教が「閉会のことば」の中で述べました。概略は以下のとおりです。

「全国公会の会期は暑さの厳しい時期であり、リモート開催にすべきとか隔年にすべきとか、いつも多くの意見をいただく。全国公会は宗教法人法で義務づけられた総会であり、そこで報告と採決を機械的にするだけなら確かにリモートでも良いかも知れない。しかし、ニコライ大主教が全国公会を始めた時に宗教法人法はなかったのだから、私たちは最初の全国公会の趣旨を理解しなければならない。

ニコライが意図したのは、全国に派遣した宣教師と各地の信徒を東京に集め、生の声を聞き合うことだった。そこでお互いに健闘をたたえ合い、交流し合うことに意味があった。

そもそも、私たち正教会が最も大切にしている聖体礼儀の『領聖』とは、本来『交わり』(ギリシャ語でキノニア)という意味。それはひとつの場に生きた人間が集まらなければ実現できない。それが正教会の考える『教会のあり方』である。

だから全国公会も、形式的な会議の場ではなく、信仰を同じくする全国の仲間たちの真の交流の場であってほしい」

 

まさに、自分たちが普段教会でやっていることは何のためなのか、という本質に関わる話でしたので、大いに勇気づけられました。

東京での全国公会自体は年に一回だけですが、九州での「交流の場」としての教会づくりに今後も邁進していきたいと思います。

 

福岡で信徒総会

この一週間、九州北部では断続的に大雨が降り続いています。

昨日も福岡では早朝から、一時は道路が川になりそうなくらいの雨が降りましたが、福岡教会での聖体礼儀には子どもを含めて18人も参祷者がありました。


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この日は聖体礼儀を終えて、午後0時半から年に一度の信徒総会を開催しました。

宗教法人も会社と同じく「法人」ですから、毎年の総会で決算を承認し、その財務諸表と役員名簿を所轄の官庁(都道府県庁または文化庁)に提出する法令上の義務があります。

当然、わが教会も総会を毎年やっているわけですが、とりわけ今回は宗教法人「福岡ハリストス正教会」として初めての総会ということになります。

信徒総会の資料を作成しているところ

 

前年度の活動報告と今年度の活動計画、前年度の決算報告と今年度の予算案の審議は、教団のような大組織であれ、わが教会のような少人数の組織であれ、議案としてはほぼ共通です。

今回はさらに、前年度に「宗教法人福岡ハリストス正教会」の認証に向けて、国(文化庁)と折衝を続けて承認に至りましたので、その経緯の報告を行いました。

 

今回の総会で最も時間をかけて審議したのは、今年度の活動計画です。

これまでの福岡教会は「ミッション段階の小規模な集会」であり、ずっと私と妻とで祈祷の執行も行事の運営も、あたかも夫婦でやっている飲食店のように回してきましたが、宗教法人の認証を受けて名実ともに九州の中核となった以上、いつまでもそんな調子ではいられません。

そこで、信徒の皆さんにも「教会」についてより知識と理解を深めていただき、皆で運営に携わってもらえるように、「学びの機会」を数多く持つこととしました。

具体的には日曜学校の延長としての「子ども聖パン作り教室」、信徒から海外の教会について情報をレクチャーしてもらう「学びの会」、これまでなかなか時間が取れなかった「聖歌練習」、聖堂奉仕者を育成するための「誦経実習」などです。

これらは私の前任地も含め、本州のある程度の規模の教会なら当たり前にやっていることなのですが、福岡も宗教法人化を機会として、そういったことにようやく本腰を入れて取り組むことにしたわけです。

 

さて、信徒総会とは直接関係ありませんが、前日の土曜日に「福岡ハリストス正教会」名義で開設した銀行口座の通帳がようやく届きました。

新規開設した教会名義の口座の通帳

これまでは「熊本ハリストス正教会」名義の口座で福岡の会計も管理していましたが、新宗教法人を登記したことで、ようやく福岡教会名の口座が作れることになりました。それで5月に銀行に開設を申し込んだのですが、1か月半もかかってしまいました…

今はマネーロンダリングや各種犯罪のせいで、銀行が団体名の口座の新規開設に慎重とは聞いていましたが、わが教会にも影響が及んでしまったわけです。別に正教会は怪しい宗教団体ではないのですが…

しかし、やっと「福岡ハリストス正教会」名義の口座ができて、自分たちが「社会的に認知された」ような気持になり、嬉しく思ったのも確かです。

 

ともあれ、この2026年をわが福岡教会が本格始動する年として、益々頑張っていきたいと思っています。

大阪出張 西日本教区会議に出席

先週末は二泊三日で大阪ハリストス正教会に出張していました。

西日本教区会議(教区の年次総会)に出席するためです。

 

6月19日(金)の正午過ぎに大阪教会に到着。

福岡を出た時は雨が降っていましたが、大阪は晴天でした。それにしても暑い!

大阪ハリストス正教会に到着

この日は司祭会議を行い、教区会議にはかる議案をまとめます。

前年度業務報告や決算報告のように、既に結果が出ている議案には争点はありませんが、新年度の行事や新規出版物の計画は司祭間で議論になるため、話し合いに数時間かかります。

今回もそういうことで、13時に始まった会議が終わったのは17時でした。

 

翌日の20日(土)の午前中は司祭で手分けして統計表などの会議資料を作成。

午後の教区理事会で、信徒理事を集めて各部門の担当司祭が議案をプレゼンし、承認を取りつけることで、翌日の本会議に上程となります。

信徒理事の意見をよりよく聞くために、私の発案で昨年12月に年度の中間理事会を開催し、難しい案件はそこでトコトン話し合って意見を集約することにしたため、今回の理事会ではもめることはありませんでした。

 

理事会後、聖堂で主日前晩徹夜祷(土曜日の夕べの祈り)。

今年は私が司祷の当番にあたっていたため、セラフィム府主教とともに約2時間の祈祷を執り行いました。

 

21日(日)は朝9時から聖体礼儀。

セラフィム府主教が司祷し、西日本教区の司祭団7人が陪祷しました。

土曜日は大雨でしたが、この日は再び晴天に恵まれました。しかし、やはり暑い!

晴天の日曜日

聖体礼儀では冒頭、セラフィム府主教から大阪教会のルカ兄とドロフェイ兄(ともに仮名)が誦経者に祝福(任命)されました。

誦経者の祝福

誦経者(Reader)は祈祷の中で祈祷書や聖書を朗読する奉仕者です。

九州のような小規模な教会では、普段よく来る信者に朗読箇所を示して読んでもらったりしていますが、正式には聖職者に準じる立場として主教から任命されるべき役職です。

大阪のような大教会では、若手でも誦経者が務められるだけの経験のある奉仕者が何人もいて、うらやましい限りです。

 

また聖体礼儀の最後に、この日をもって聖職を引退するニコライ長輔祭(仮名)にセラフィム府主教から感謝状と記念品が授与されました。

ニコライ長輔祭に感謝状の授与

間もなく85歳になるニコライ師は60年以上にわたって大阪教会に奉仕し、歴代の管轄司祭を助けてきました。良い意味で大阪教会の「ヌシ」的人物です。

私自身も横浜教会で信者としてスタートした直後から、ベテランの奉仕者の方たちに堂役や誦経の手ほどきを受けてきて、それが現在につながっているわけですが、ニコライ師もまさに大阪で、前述のルカ兄やドロフェイ兄のような若い奉仕者たちを育ててきたわけです。

大阪は素晴らしい指導者に恵まれて、これまたうらやましい限りです。

 

聖体礼儀は正午に終わり、13時20分から教区会議が開始。

理事に加えて信徒代議員も出席するので、会議の規模も多少大きくなります。

教区会議(大阪ハリストス正教会会議室)

 

議事自体は前日の理事会を通過しているので、もめる案件は皆無でした。

また私は九州に着任以来、6年連続で副議長(実質的な司会者)を仰せつかってきましたが、今回からその任務からも外れたので、気分的に楽でした(笑)。

 

会議の中の前年度業務報告で、わが福岡ハリストス正教会の宗教法人成立が教区の慶事として紹介され、また福岡での新聖堂建設のために教区事務局に寄せられた約300万円の献金の引き渡しも受けましたので、執事長とともに法人設立に至る経過報告と御礼の挨拶をしました。

今後も頑張ります!

宗教法人設立の報告

会議後の懇親会を終え、福岡に着いたのは23時でした。

会議と祈祷づくめの三日間で、なかなかハードな日程でしたし、教区内では難しい案件を抱えている教会もあるのですが、少なくとも自分にとっては前向きな気持ちになることができた会期で良かったと思っています。