九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。熊本県人吉市から情報発信しています。

鹿児島に巡回 九州に来て間もなく3年

昨日は鹿児島ハリストス正教会に巡回。イエスの母マリヤの誕生を記念する生神女誕生祭の聖体礼儀を執り行いました。

生神女誕生祭の聖体礼儀


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日本正教会の祭服のドレスコードは、母体となったロシア正教会の基準を用いています。

生神女の祭日では「明るい青色」の祭服が指定されています。

九州の教会には、前任者の着任時に一部の祭服を新調した人吉教会を除き、祭服がほとんど備わっていなかったので、私の場合、出張での祭日の祈祷には前任地時代に自費であつらえた私物の祭服を持参しています。

祭服のオーダーは安くても1着10万円ほどかかり、いろいろな色のものが必要なので私の場合は6着作りました。出費がかさむので、ほとんどの司祭は教会の経費で備品として購入した祭服、さらにお金のない教会は大教会のお古をもらって着用しています。しかし私は祭服は一生ものだと考えているので、お金をかけてでも自分が気に入ったものを仕立てたいと思い、私物として作った次第です。

この青い祭服も「マイ祭服」ですが、ネットで見た生地の見本の色合いが気に入ったので、その生地を指定してオーダーしました。お気に入りの一着です。

 

この日は参祷したルーマニア人信徒のエレナさんが、自慢のルーマニア料理を持って来てくれました。

彼女は鹿児島市内でルーマニア料理の惣菜店を始めて、大層繁盛していることは既に紹介しています。

 

frgregory.hatenablog.com

 

本人は店の仕込みが忙しくて、祈祷が終わるとすぐ帰ってしまいましたので、料理は残った者たちだけでありがたく頂きました。

とても美味しかったです。

差し入れのルーマニア料理

 

さて、私が九州に着任して間もなく満3年となります。

この鹿児島教会も、鹿児島で最初のキリスト教会(1878年創立)であり、日本正教会の九州開拓伝道の拠点になった歴史ある教会ですが、私が着任した時は普段の参祷者は二人まで減っていました。

将来の教会閉鎖まで真剣に考えなければならないくらい、崖っぷちの状態でしたが、エレナさんとその家族のような外国出身者、あるいは外国在住の鹿児島出身者とのご縁が次々とでき、今は比較的に安定して教会活動を営むことができています。

 

鹿児島であれ、九州の他地域であれ、爆発的に教勢が増えることはないでしょうが、今後も地道に活動を続けていきたいと思います。

秋分の日 奥球磨の文化財を探訪

昨夜は「多良木町交流館石倉」にコンサートを聴きに行きました。

この「石倉」は昭和10年に多良木農業会(現在のJAの前身)が米倉庫として建てたもので、国の有形文化財に指定されています。

都会ならともかく、交通の不便な奥球磨の多良木町に、このような歴史的建造物がリノベーションされて、今もイベントスペースとして生き続けているのが素晴らしいです。

多良木町交流館石倉(昭和10年築・国有形文化財

 

さて、秋分の日の昨日は天気も良く、日が暮れてから人吉から片道1時間近くかかる多良木までただ往復するだけなのも勿体ないので、早めに家を出て多良木周辺をドライブすることにしました。

 

ちょうどお彼岸の時期は春と秋の7日間ずつ、人吉球磨地方にある「相良三十三観音」(寺は35か所)が御開帳となります。つまり普段は閉まっているような寺院やお堂も、この期間だけは拝観できるということです。

人吉球磨は12世紀末、源頼朝に地頭に任じられた相良氏が1871年廃藩置県まで700年も治めた歴史ある地であり、このような土着の宗教遺産もたくさん残っています。

中でも特に多良木は相良氏が最初に館を構えた場所であり、それだけ文化財も多いです。

 

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まず訪ねたのは栖山観音。113段の石段を上るとお堂があります。

現在のお堂は1705年に建てられたものですが、鳥居が立っているところが何とも神仏習合的です。

栖山観音堂

内部の千手観音像は平安時代後期のもので、高さ283㎝あります。ともに立っている脇侍像も同時代の作で、全て熊本県指定文化財となっています。

栖山の千手観音像(平安時代後期・熊本県指定文化財

京都や奈良にある有名な仏像と違って、いかにも地元の素人が造ったような顔立ちなのですが、それがかえって900年近くも前の民衆の素朴な信仰心を偲ばせるように感じました。

 

観音堂のふもとにはたくさんのヒガンバナが自生していて、まさに花畑のようになっています。

栖山観音周辺に自生するヒガンバナ

多良木町から奥に行き、水上村に入るとすぐ生善寺に着きます。

この寺は1625年、人吉藩主・相良長毎が建立した寺で、観音堂は国の重要文化財に指定されています。

普段は非公開の堂内の意匠も素晴らしいものだそうですが、着いた時は16時過ぎで、御開帳の時間が過ぎていたのか、お堂は閉まっていて中は見られませんでした。

生善寺観音堂(1625年築・国重要文化財

この寺の創建の動機は「化け猫伝説」です。

1582年、この地の豪族の湯山宗昌が相良氏への謀反を疑われました。宗昌は逃亡してしまい、代わりに彼の弟で普門寺法印の盛誉が殺されて寺も焼かれてしまいました。

盛誉の母・玖月は愛猫「玉垂」に自分の血をなめさせ、末代まで相良氏に祟るように言い残して自害しました。

以後、化け猫が藩主の枕元に現れるなどの奇怪な現象が続いたため、事件から40年を経て、相良氏は普門寺の跡地に生善寺を建立。盛誉の命日の3月16日に毎年供養をしたところ、祟りは収まったとのことです。

そのため、この寺は今も「猫寺」という愛称で呼ばれています。

観音堂の裏には祭事用と思われる化け猫・玉垂の灯籠が収蔵されていました。

化け猫・玉垂の灯籠

 

寺の由来とは直接関係ありませんが、境内の天然記念物のクスノキの巨木が先週末の台風で裂けて、倒れていました。お堂のすぐ脇まで倒れ掛かっていましたが、お堂自体は無事だったようです。

台風で倒れた巨木

 

生善寺から2㎞ほど東に行くと、龍泉寺があります。

龍泉寺観音堂

こちらの聖観音像の制作時期は不明ですが、脇侍は1462年の作。水上村内で最古の仏像だそうで、三体とも水上村文化財に指定されています。

龍泉寺聖観音像と脇侍像(1462年・水上村文化財

この脇侍像も栖山観音像と同じく、こけしのような何とも素朴で可愛らしい顔立ちです。

 

龍泉寺を出るとコンサート会場の開場時間が近づいたので、寺巡りをお開きにして多良木に戻りました。

 

既に述べたように、この人吉球磨の地にはただ古い宗教遺産が形として残っているだけでなく、それが人々の土着の信仰心として今も生き続けていることが貴重だと思います。私自身はクリスチャンですから、仏像を拝むことはしませんが、たとえ宗教が違っても、地域の歴史と共に信仰心をも継承していくという文化は尊敬に値すると思っています。

台風一過 生神女誕生祭

今日はユリウス暦の9月8日。正教会ではイエスの母マリヤの誕生を記念する生神女誕生祭です。

イコン「生神女誕生」

マリヤの誕生を記念することは、ローマ帝国キリスト教が公認された4世紀に始まりました。これはキリストの降誕を祝う降誕祭(クリスマス)の始まりと同時期です。

もっとも、実際にイエスが生まれたのは何月だったか不明であって、「降誕の記念」を12月に行う祭がクリスマスであるのと同様、マリヤの実際の誕生日がいつだったかも不明です。あくまでもマリヤが生まれたことを9月に記念する、という考えです。

ただ、神学的なことを抜きにしても、秋分に近い今は欧米の多くの地域、またわが国でも秋の爽やかな時期であり、この9月21日というのは実に祭にふさわしい日程ではないかな、と思っています。

 

さて、日曜日に猛烈な台風14号が襲来しました。

鹿児島市に上陸したのが日曜日の夜だと書きましたが、台風は薩摩半島を北西に移動し、有明海を経由して柳川に再上陸。さらに福岡県を横切って月曜日に関門海峡から本州に入りました。

本州に入ってからは急速に勢力が弱まったようで、あまり本州の被害は伝わっていないのですが、宮崎県では9月1か月分の雨が一日で降るような豪雨に見舞われ、それなりに被害があったようです。

 

わが人吉でも球磨川が氾濫危険水位を超え、月曜の午前3時すぎにスマホが急に鳴り出して避難指示を伝えました。

一昨年の球磨川の氾濫も未明に起きたので、またかと思うと不安で眠れなくなってしまいました。

夜が明けた後も夕刻まで、吹き返しの強風と大雨が続いていたので、一歩も外に出られませんでした。

 

昨日の火曜日の朝、ようやく台風一過の秋晴れとなったので、人吉教会に被害の有無を確認しに行ってきましたが、建物の破損も雨漏りも一切なし。

鹿児島教会でも執事長が聖堂と信徒会館を確認し、被害がなかったと連絡をくれたので、やっと安心しました。

しかし、人吉市の東隣の錦町ではかなり広い地域で停電が発生し、12時間も続いたと聞いたので、人吉教会に寄った後、錦町の方に行って球磨川の様子を見てきました。

火曜日の時点で水位はだいぶ下がっていましたが、普段の清流とはまるで違う濁り水で、流れは激しいままでした。

台風の翌々日、球磨川の濁流(錦町)

さらに錦町内では球磨大橋が水圧で損壊し、国道も不通になっていると報道されていました。

 

一昨年の水害の時は、人吉市下流球磨村は大変な被害で、錦町はほぼ無傷に近かったのに、今回は人吉市には被害がなく、上流の錦町が被災したわけです。

つくづく、この人吉球磨地方で、予測不能大自然と向かい合う暮らしの厳しさを実感しています。

 

付近の田んぼはすっかり色づいて、収穫を待つばかりになっています。せめて稲刈りが終わるまでは台風を来させないようにと、今日はマリヤに神への取り次ぎを祈りました。

台風の真っただ中!

大型の台風14号の接近で、一昨日夜の時点で今日の熊本巡回を取り止めたことは既に書きました。

今回の台風は伊勢湾台風と並ぶ、過去最強クラスと聞いているので、十分に警戒しないとなりません。

 

予報では、台風は薩摩半島の西岸を通って、今日の未明から午前にかけて熊本県を通過する見込みでしたが、だいぶスピードが遅くなりました。

 

そのようなわけで、今朝の時点ではまだ、人吉では風雨はあまりひどくなかったため、妻と人吉ハリストス正教会に行って聖体礼儀を献じてきました。

台風が接近する前に、人吉ハリストス正教会で聖体礼儀

もちろん、祈祷を終えて聖堂を閉める時に、屋外に出ているものを片付けるなど、一応の防災対策はしてきました。もし屋根などが吹き飛ばされてしまったらどうしようもできませんが、そうなったらそうなったで腹をくくるしかありません。

 

台風の中心は予報よりも東寄りを進み、鹿児島湾を通って、19時過ぎに鹿児島市に上陸しました。

鹿児島市内は最大瞬間風速43mを記録したとのことですが、これは電柱や木がなぎ倒されるようなレベルです。

鹿児島教会がどうなったか、とても不安です。

 

いま21時を過ぎましたが、台風の中心は鹿児島県と熊本県の県境付近。私が住んでいる場所のすぐ近くにあるようです。

暴風で司祭館がミシミシと音を立てています。

 

それ以上に昼前から豪雨が降り続いていて、球磨川の氾濫のおそれがあります。

夕刻の時点で、人吉市長が防災無線で避難を呼びかけましたが、その言葉どおり間もなく球磨川が氾濫危険水域を超える見込みです。

一昨年7月の水害の悲劇がまた繰り返されるかも知れないと思うと気が気ではありません。

 

台風はこれから熊本県から長崎県に向かい、未明には進路を東に変えて、明日は佐賀県と福岡県を通過する見込みです。

また宮崎県と大分県は人吉水害の時に匹敵する記録的豪雨となり、洪水や土砂災害が予想されています。

まさに九州全県をめちゃくちゃに破壊する勢いです。

 

台風が通過してしまうまで教会や信徒の被害の確認はできないので、いろいろなことが分かるのは明後日以降になりそうですが、ただ無事を祈るばかりです。

 

この台風はさらにたちが悪いことに、強い勢力を保ったまま日本列島を縦断するようで、被害は九州だけでなく、皆さんのお住まいの地方にも及ぶかもしれません。

実際、既に首都圏でも大雨で浸水の被害が報じられています。

どうぞ、くれぐれも防災の備えを万全になさってください。

今週の船舶成聖・二回目 25年ぶりに訪ねた四国

月曜日に引き続き、昨日も同じオーナーの船を成聖してきました。
場所は愛媛県西条市です。

 

私は学生時代、バックパック旅行が好きで、四国も3週間かけて回りました。しかし、西条市には特に見るものがないので、予讃本線で通り過ぎてしまいました。

それ以後、四国の地を踏んだのは25年ほど前、以前の会社の社内旅行で道後温泉に行ったのが最後です。

同じ日本だからどうということはないのですが、やはり初めて行く場所、また長期間行っていない場所に行くのはワクワクします。

 

人吉からどうやって現地に行くかが課題でしたが、オーナー企業の日本人役員の方が、福岡空港からなら松山行きの航空便があると教えてくださいました。それを利用すれば福岡から日帰りで往復できるというお話です。

 

そのようなわけで、朝に人吉を出て車で福岡空港に行き、12時発の飛行機に乗って松山へ。空港にはオーナー企業が手配したタクシーが迎えに来ていました。

現地の工場までは高速で片道1時間ほどかかるのですが、それにしても往復送迎車付きなんて、これまでの下請けの作業員と一緒の扱い(海上で縄ばしごを昇らされた)とは雲泥の差です。

 

14時に現地に到着。

対象の船「ナヴィオス・アルモニア」は月曜日に成聖したものと姉妹船で、外見も内部の仕様もそっくりでした。

新船「ナヴィオス・アルモニア」

造船会社の社員の案内でブリッジに行き、祈祷の設営をしました。

成聖式の設営

地上ではアメリカから来たオーナー企業の役員たち(もちろん月曜日と同じメンバー)をゲストに、「命名式」(新船完成の記念式典)が行われていました。

命名

ブリッジは当然ながら船の最上階にあり、地上からは高さ40mくらいありますが、私は他の社員や船員と同じく階段で上がりました。

しかし、地上にいるお偉方はどうやって乗船するのかなと思って見ていたら、何とコンテナのようなゴンドラに乗ってクレーンで甲板に釣り上げていました。

こんなの見るのは初めてです!

幹部が乗ったゴンドラ

お偉方がブリッジに上がってくるのを待って成聖式を開式。

祈祷の後は、幹部のレセプションが行われている約30分ほどの間にエンジンルームに行き、機械類を成聖して来いとの話です。

それでフィリピン人の機関長の案内で、聖水を撒いて回りました。エンジンは船内の一番底にあり、しかも機械類は何フロアにもわたってあるので、階段の昇り降りが実に多く、ハードな有酸素運動となりました。

 

成聖が終わって下船するときは、ゴンドラで幹部と同乗してください、ということで乗り込みました。

内部は電車の車両とそっくりの仕様でした。

ゴンドラの内部。電車みたい。

15時半に下船して再び送迎のタクシーに乗り、松山空港へ。

結局、25年ぶりの四国訪問でしたが、松山空港に着いてから戻ってくるまでわずか4時間足らず、うち現地の事業所にいたのは1時間半ほどで、何かを見物してくる余裕は全くありませんでした…

 

福岡空港に着いたのは19時前。週末は熊本巡回のため、人吉まで戻るのは時間と高速料金のロスになるので、福岡市内のホテルに宿泊。今日も福岡や熊本で教会関係の雑事をしてから熊本市内のホテルに泊まるつもりでした。

しかし、過去最大級の台風14号が九州に接近中。日曜日には九州に上陸の見込みとなりました。

そこで信徒の安全を配慮し、熊本巡回を中止することにして今朝信徒に連絡。私も人吉に戻りました。

船舶成聖が嵐に見舞われなかったのは幸いでしたが、これから教会に被害が出ないよう祈るばかりです。

今回の台風は日本列島を縦断するとの予報なので、どこにお住いの方でも防災の備えは万全になさいますように。

 

 

鹿児島で初めて牧師会に参加

昨日は鹿児島へ出張。
鹿児島市内のカトリックプロテスタント合同の聖職者の勉強会「牧師神父の会」に呼ばれて、ウクライナの歴史と宗教についての講話を行いました。

日本各地でこのような超教派の「牧師会」が行われていると思いますが、実際に声をかけられて参加したのは初めてです。

 

会場はカトリック鹿児島司教座のザビエル教会です。

鹿児島ハリストス正教会からは徒歩5分ほどの近所にあります。

カトリック鹿児島ザビエル教会

カトリック鹿児島司教区本部

薩摩は1549年、フランシスコ・ザビエルが初めて日本に上陸した地。そのため、鹿児島のカテドラル(司教座聖堂)はザビエルを記念しています。

もっとも、島津氏はカトリックの宣教に非協力的だったため、ザビエルは平戸、山口、豊後といった違う土地で宣教しました。そのため残念ながら、鹿児島にはザビエル関連の遺物は皆無なのですが…

 

講話を1時間と質疑応答や情報交換で1時間、計2時間の集いでしたが、私はこのような超教派、さらには仏教なども含めた超宗教間の交流は大切だと思っているので(必ずしも教団の意向とは一致しないかもしれません。あくまでも個人の考えです)、お付き合いのきっかけができて大変良かったです。

 

会合の後、鹿児島ハリストス正教会ルーマニア人信徒が市内で6月に始めたルーマニア家庭料理の惣菜店に寄りました。

わが国ではルーマニア料理の店自体が珍しく、まして東京などの都会ならともかく、鹿児島のような地方都市にはまずない店屋でしょう。そのためか、民放のローカル番組に頻繁に取り上げられているとのことで、昼時はとても流行っているそうです。

ルーマニア家庭料理の惣菜店「Happy Kitchen」(鹿児島市

日曜日は休業のため、鹿児島巡回日は店に来ることができず(そもそも巡回日には店主らは教会の方に来る)、今回の出張で初めて買い物をすることができました。

たくさん買い込んで(店主にだいぶサービスしてもらいました)帰宅。親子三人で美味しいルーマニア料理の夕食を楽しみました。

購入したルーマニア料理の数々

教会としての性格上、出張はほぼ週末ばかりなのですが、平日に訪れると新しい発見があって楽しいですね。

今週の船舶成聖 一回目

先週、アメリカに本社のあるギリシャの船会社から、新船の船舶成聖を依頼されました。
正教会では聖堂だけでなく、家屋や乗り物などを建造した時は、持ち主や使用者の安全と幸福を祈念して成聖(Blessing)を行うことになっています。船は大きな建造物であり、海難事故を心配しなくてはなりませんから、成聖の対象物の最たるものといえます。

ギリシャは海洋王国だけあって、ギリシャ企業が所有する船は多く、それらの進水にあたっては当然ながら正教会式でセレモニーを行うことになります。

 

九州には造船所が何か所もあるためか、着任して3年しか経たないのに、もう既に船舶成聖は3回も執り行っています。

 

frgregory.hatenablog.com

 

frgregory.hatenablog.com

 

今回のミッションはかなり大掛かりで、まず今日、熊本県長洲町のジャパン・マリン・ユナイテッド(JMU)で建造された船を成聖。続いて今週の金曜日に愛媛県西条市今治造船で建造された姉妹船を成聖するというものです。どちらの成聖式も船会社のCEOをはじめ、役員がアメリカから来日して出席するとの話でした。

過去に引き受けた成聖式では「自分で縄ばしごを昇って、祈祷して来てください」といった、ほとんど下請け業者の作業員のような扱いでしたが、今回の船会社はお偉方が出席するセレモニーという位置づけのためか、だいぶ丁寧な待遇です。

 

今日訪ねたJMUの造船所は、同じ熊本県内とはいえ、人吉からは130㎞以上離れており、車で片道2時間かかります。

改めて、熊本県は大きいなと実感します。人吉が県内の一番外れにあるからですが…

 

造船所の敷地内は大変広いので、目標の船がある位置を事前に確認しておかないと、たちまち迷子になってしまいます。

今回は、船体に船名が大きく書いてあったので、すぐにたどり着きました!

今回成聖した貨物船「ナヴィオス・アストラ」

JMUの社員にブリッジへ案内してもらい、祈祷の設営。

オーナー企業のお偉方の到着を待ちます。

ブリッジの羅針盤の横に祈祷の設営

 

アメリカから到着したCEOは60代くらいのギリシャ系の女性。他の役員もみなギリシャ系らしく、互いの会話はギリシャ語でした。

一応、祈祷は日本語で行うが、ギリシャで行われているのと同じ、正教会の正しいスタイルである旨を言ってから(ギリシャ語はできないので英語で)、祈祷を始めました。

彼らは初めて見る日本人の正教会司祭と日本語の祈祷に興味津々だったようです。

 

本来、船内の全ての部屋に聖水を撒かなくてはならず、通常は1時間くらいかかるのですが、お偉方はレセプション会場にすぐ行かなくてはならないということで、CEOの横にくっついて歩きながら、彼らの見学場所だけに聖水を撒き、30分ほどで終えました。

船上から見たJMUのドック

今日の第一回は無事終了。金曜日の第二回成聖式は福岡空港から愛媛県まで日帰り出張となります。もっとも今週末は熊本巡回日のため、福岡から人吉まで戻ると時間と高速料金のロスになるので、金曜日は福岡、土曜日は熊本に泊まるのですが。

教会活動というより、巡業みたいです。しかし、知らない場所に行って新しい経験をすることは好きですから、全く苦になりません。

初めての四国出張、今から楽しみです。