九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。熊本県人吉市から情報発信しています。

佐世保で初めての船舶成聖式

今日は長崎県西海市大島造船所で、ギリシャの新造船の船舶成聖式を執り行いました。

長崎県内では以前、長崎市(正確には長崎市沖!)で船舶成聖式をしたことがありますが、佐世保方面では初めてです。



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造船所は社名のとおり、大島という島にあります。本土と橋で繋がっているとはいえ、人吉からは300km近く離れていて、日帰りでは到底行かれません。

そこで昨日と今日、佐世保市内でホテルに2泊し、現地への往復を送迎してもらうことにしました。

 

一般的には、正教会の宗教行事としての船舶成聖式はそれ自体を単独で行うのではなく、建物の竣工式に相当する「命名式」というセレモニーに付随して行われます。

つまり、これまで製造番号しかなかった船の「誕生」にあたって、オーナーやその他の有力関係者が立ち会って「名前をつける」という発想です。

何だか「幼児洗礼」と「洗礼名」の関係に似ていて興味深いです。

 

新船は「Marla Royalty」と名付けられました。
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命名者はオーナーのゲストで、タムタ・ゴドゥアゼさんという芸能人でした。名前から察するにギリシャ人ではなくジョージア人だと思われます。洗礼式の代母(証人)を意味する「God Mother」と呼ばれていました。

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成聖式の後は造船所が手配したバスに乗って、30分ほど構内見学が行われました。説明は造船所の女性社員がとても流暢な英語で行っていました。

他社では式典が終わると、来賓はそそくさと引き上げてしまい、私もその場で「ハイさようなら」になってしまうので(それは造船所側というより、式典を取り仕切っている商社側の考えだと思われますが)、この会社はずいぶん丁寧だなと思いました。


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見学のあと、造船所が経営するリゾートホテルにバスでそのまま移動し、祝賀会が開かれました。

いつもは「ハイさようなら」の私も、今回は造船所が来賓の一人として席を設けてくださったので、ありがたくご相伴に与りました。

 

ホテルは隈研吾氏の設計だそうで、景色の良いゴージャスなものでした。地方の造船所に隣接したホテルということで、古びた会社の保養所みたいなものを想像していたのですが、全くそうではなかったので驚きました。



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パーティーでは主賓らの挨拶や鏡開きなどの後、造船所が制作した会社のプロモーションビデオが上映されました。


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家族3代が大島造船所で働いている島の少女が主人公というストーリー仕立てなのですが、演じているのは俳優ではなく、ここの社員やOBで、撮影当時は少女だった主人公役も今は造船所に入社して受付をしていました。

いろいろな意味ですごい会社だなと思いました。

 

こちらの造船所では、ギリシャ船籍の船の建造を他にも何隻も受注しているそうです。

完成の暁には、また声をかけてもらえたらなあ、と思いました。