今週から大斎となり、毎朝夕に大斎初週(The First Week of Great Lent)の祈祷をしているので、投稿できないまま日にちが過ぎてしまいました。
2月26日は大斎前の最後の日曜日でした。
大斎期間は動物性食品が食べられないので、この日までに酪農製品を食べ尽くす(肉は前倒しで1週間前から既に禁食)という意味で「乾酪の主日」(Cheese Fare Sunday)と呼ばれます。
またこの日は「赦し合い」がテーマであることから、「赦罪の主日」(Forgiveness Sunday)という別名もあります。
典礼としてはこの日の夕方の祈祷「赦罪の晩課」で参祷者全員が互いに赦し合いの挨拶をし、これをもって大斎が始まるものとしています。
この赦し合いとは、以下のイエスの言葉を実践するものです。
「もし人の過ちを赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたの過ちをお赦しになる。しかし、もし人を赦さないなら、あなたがたの父もあなたがたの過ちをお赦しにならない」(マタイ6:14-15)
つまり、大斎とは自分の罪を悔い改めて神との一致を求めていく期間という位置づけなのですが、そもそも悔い改めるとは当然ながら「自分は正しい人間だ」という前提を捨てなければできません。
そうであるなら、目に見えない神に対してどうこういう以前に、目の前にいる他者との人間関係において「自分は正しい。悪いのはお前だ」と100%断言することもできないことになります。
つまり、悔い改めるとは自分の内面だけで反省すれば完結する問題ではなく、自分は知ると知らずとを問わず、他人に迷惑をかけているということに気がつかなければ不十分です。
よって、悔い改めの期間である大斎のスタートにあたって、まず最初に他人に対して自分から詫びて赦しを請い、さらに他人のことも寛容に赦すことを互いに実践しましょう、というのが正教会の考え方ということです。
人吉ハリストス正教会では、参祷者が夕方に赦罪の晩課のために再集合することは困難なので、聖体礼儀の終了時に赦し合いの挨拶を行っています。
午後、妻と聖堂の内装の布類を金色から黒へ、燭台のグラスを赤から紺色に交換しました。
大斎という特別な期間に入ったことを視覚からも意識させるため、聖堂内を暗色に模様替えすることは世界共通の正教会の習慣です。
今週からまさに大斎モードで、連日祈祷しているところです。
続きは明日以降に書きます。