今日はわが国で伝統的に言うところの「彼岸の入り」です。
人吉の司祭館の周囲は田んぼばかりですが、ヒガンバナがたくさん咲いています。
子どもの頃に「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉を習いました。
春分と秋分が季節の変わり目であって、冬の寒さは春分に、夏の暑さは秋分の頃には終わるという意味ですが、全国的に30℃越えの真夏日が続いていますね。
気温が真夏とあまり変わらないのに、ヒガンバナはどうして秋分が到来したと分かって開花するのか本当に不思議です。
さて、今月は福岡の新教会用地の取得で本当に忙しくて、すっかり投稿をサボっていました。
8月に詳細な報告資料を作って教団に提示した甲斐があり、今月の宗務総局会議(一般企業でいう取締役会)で用地購入資金の全額相当分を教団に出していただけることが決まりました。
教団代表役員のダニイル府主教の永眠にともない、仙台のセラフィム大主教が代表役員代理に就任していますが、セラフィム座下は「福岡の新教会は即決すべき最優先事項である」とおっしゃってくださったそうです。ありがたいことです。
教団の事実上のトップが言っているのに反対する人はいないでしょう。
物件は他に購入したがっているライバル(?)がいたらしく、不動産業者からも早く返事をくれるように督促されていたので、出席している宗務局長(教区の事務局長)から総局会議が終わり次第、結果を電話で知らせてもらうようにあらかじめ頼んでありました。
そして宗務局長から電話をもらってすぐに業者に連絡。アポを取って3日後に福岡の事務所まで行き、購入申込書を書きました。
もちろん、引き渡しを受けるまで物件はこちらのものにはなりませんが、初めは全くの夢物語だと思っていた福岡の新教会設立が現実のものに近づいたので感慨深いものがあります。
物件については、引き渡しを受けたら情報をアップします。
さて前述の宗務総局会議では、9月28日(木)に臨時全国公会(株式会社の臨時株主総会に相当)が開催されることが決まりました。
教団の代表役員は「全日本の府主教」が就任すると定められています。その府主教は全国公会で選任され、教会法上の首位者であるモスクワ総主教が承認した者ということになります。
よく日本正教会はロシア正教会の「出先機関」のように誤解されているのですが、モスクワ総主教の直属教会ではなく自治教会(autonomous church)なので、日本の府主教を選出する権限はモスクワ側ではなく日本正教会の最高意思決定機関である全国公会にあります。つまり一定の独立性が担保された組織です。
もちろん誰も府主教候補者がいなかったら、つまり日本に誰も主教がいなかったらモスクワ総主教に「大政奉還」しなくてはなりません。
前々任の府主教のフェオドシイ座下が99年に急逝した時は、日本に他の主教がいなかったため、日本正教会の「御家断絶」の危機に陥りましたが、当時のモスクワ総主教アレクシイ二世聖下の判断で、日本側で主教候補者を推挙するならそれを認めるということになりました。
そして紆余曲折を経て、豊橋教会の司祭だった主代神父が主教に叙聖され、さらに「全日本の府主教ダニイル」として着座したのです。
今回は幸いなことに、日本にはセラフィム大主教がいますので、臨時公会はセラフィム座下への事実上の信任投票となるでしょう。
なお、その臨時公会には私は出席しません。
サボるのではなく、臨時公会の日程が決まる前から、正確にはダニイル府主教が永眠する前からセルビアの首都ベオグラードに滞在する予定が入っていたからです。もちろん、セラフィム大主教の許可済みです。
セルビアを訪ねるのはコロナ前の2017年以来、6年ぶりです。
セルビアは中世以来の正教文化が色濃く残っており、われわれ正教会に所属している者にとってはとても魅力的な国です。
これも帰国後にレポートします。
セルビアから帰国するのは10月2日ですが、少しは涼しくなっているでしょうか…