九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。2019年から九州全域を担当しています。

北御門二郎氏の著書が寄贈されました

昨日は京都ハリストス正教会で、朝10時から宣教献金(教区あての献金)の案内の発送作業。

西日本教区の位置づけは、愛知県以西の教会を取りまとめる事務局であって、それ自体は法人でも単独の教会でもありませんから、行事の開催費用のほか、通信費や印刷費、交通費などの事務局の運営資金は各地の個々の信徒から自発的に献金していただく以外に確保できません。

そのようなわけで、毎年11月に西日本の各教会の信徒宛てに案内を送って献金のお願いをしています。

西日本教区「宣教献金」の案内

作業の後、13時から16時までは教職者会議。

教区の行事関係の運営打合せが主なのですが、福岡での新教会設立についても私個人の仕事ではなく、教区としてのプロジェクトとして推進することで各司祭の意見統一ができました。

福岡で新規に土地を取得して聖堂を建てるには、初期費用だけでも数千万円が必要であり、一けたの世帯数しかない今の福岡の信徒の献金だけでは何年たっても実現できません。教区ぐるみ、さらには教区事務局を通して教団本体を含めた協力体制を構築できないと無理なので、そのための裏付けができたことは前進です。

 

会議とは全く関係ありませんが、京都の聖堂は国の重要文化財に指定されたこともあり、ちょうど今行われている京都市文化財保存協会主催の「京都非公開文化財特別公開」の対象になっていました。

朝からひっきりなしに見学客が訪れ、会議中も問い合わせの電話が鳴りっぱなしでした。

特別公開中の京都ハリストス正教会

また、京都の豆菓子メーカーの「豆政」が、商品のパッケージに京都ハリストス正教会の外観のイラストを載せています。それを会議の時に土産にいただきました。

もうすっかり、京都の有名寺院と肩を並べている感があります。

豆政の商品

 

こうして京都出張を終えて、昨夜遅くに人吉に帰着しました。

 

今日は人吉ハリストス正教会宇城市在住のKさんが来訪。

Kさんのお母様(故人)は教師で、水上村の学校に勤めていた時に地元の著名なトルストイ翻訳家・北御門二郎氏(1913-2004)と知り合い、以後親交があったとのことです。

北御門家は人吉ハリストス正教会を支えてきた信徒家庭の一つで、もちろん二郎氏も信徒です。昨年ブログで紹介しましたが、とても数奇な生涯を送った人物です。

 

frgregory.hatenablog.com

 

Kさんによれば、北御門氏は人吉教会で祈祷がある時は、住んでいた山奥の水上村から人吉まで出てきて、Kさんの母上ら、何人かの文学愛好者たちと定期的に会食していたそうです。

そのような経緯で、Kさんの母上も北御門氏本人から贈られたものを含めて、彼の著作の多くを収集していましたが、それを今回、人吉ハリストス正教会にご寄贈いただくことになったのです。

本だけでなく、北御門氏に関連する新聞記事や講演の録音なども含まれていました。貴重な資料です。

寄贈された北御門二郎氏の著作

わが人吉教会は京都と違って、訪ねて来る人は(信者を含めて!)ほとんどいません。今日Kさんに同行してきた親戚の方は、住所を見たら教会のすぐ近所だったのですが、教会の存在を全く知りませんでした…

ですので、こういう貴重なものを教会の蔵書としても、見る人がいなければ勿体ないとは思うのですが、わが人吉教会が輩出した数少ない文学者の遺産ということで、大切にしていきたいと思います。