いま住んでいる人吉の司祭館の庭木が伸びすぎて、近所から苦情になってしまいましたので、今日はシルバー人材センターの方たちに剪定作業をしてもらいました。
しばらく手を加えなくても良いように、思い切り短くしてもらったので、日当たりも良くなって気分爽快です。
前回やってもらったのは2年前の6月。着任したのはその前年の秋だったので、枝の葉は枯れかけていて気にならなかったのですが、年が明けて春から初夏になると、あまりにも庭木の荒れ具合が気になり、作業を発注しました。
それから1か月も経たないうちに人吉は大水害に襲われました。
作業前の森のように伸びた木々を見ていると、あの災害からいつの間にか年月が過ぎてしまったことに気づかされました。
さて、昨日は市中心部の高野寺にピアノ演奏を聴きに行きました。
高野寺の向かいの青井阿蘇神社は大水害の時、国宝の社殿が水没して大変な被害を受けました。
この辺りは被害が最も酷い地区で、神社の前の蓮池にも道路から車が何台も流れ込んで見るも無残な状態でした。
しかし、今は池の蓮も生き返り、破損した文化財の禊橋(みそぎばし)の修復もようやく始まって、復興に向けて少しずつ進んでいるようです。
高野寺も4m以上水没したそうで、本堂以外の庫裏などの建物は全て取り壊されてしまい、プレハブの仮設寺務所などがある以外、境内は閑散としています。
このお寺では住職の奥様がピアノ教室を開いています。
住職によれば水害前、グランドピアノ2台、アップライトピアノ2台、電子ピアノ1台があったそうですが、全て被災しました。
開演の挨拶の時、大切にしていたピアノが瓦礫として重機で取り出された時の思い出を語る住職の声は、涙で震えていました。
その後、支援者からグランドピアノが寄贈され、ピアノ教室を再開できたそうです。
今回は人吉市のタウン誌「どぅぎゃん」(私も定期購読しています)の主催で、無料のミニコンサートが開かれたものです。
来聴したのは大人だけでなく、ここでピアノを習っている子どもたちが何人も来ました。
人吉教会の執事長の幼いお孫さん3人も来ていて驚きましたが、ここの生徒だとのこと。相良村からわざわざ通って来るとは、高野寺のピアノ教室はなかなか評判が良いようです。
演奏者は人吉生まれで、現在ポーランドで活躍しているピアニストの有島京さんです。
ショパンの小品を何曲か、披露してくれました。
演奏はピアノが置いてある仮設集会所で行われ、ピアノ教室の生徒以外のわれわれ聴衆は外で聴くという趣向です。
有島さんは一昨年冬、コロナでポーランドを離れて人吉に戻っていた時に、人吉労音主催のコンサートで演奏したのを聴きに行きました。その時も災害復興祈念だったように記憶しています。
有島さんによれば、現在ポーランドにはウクライナの人々がたくさん避難してきており、支援のためのコンサートで頻繁に演奏しているとのこと。偶然とはいえ、いろいろな形、いろいろな場所で復興支援に携わられています。
青井阿蘇神社のように復興が見える形で進んできたところもあれば、高野寺のように水害から2,年経っても、まだ先が長いところもあります。
私も人吉であと何年生活することになるか分かりませんが、復興への歩みを見届けながら、できるお手伝いをしていきたいと思っています。