人吉に1年2か月前に来てから、初めてクラシック音楽の演奏会に行くことができました。
人吉市に「人吉労音」というクラシック音楽鑑賞愛好家の会員制団体があります。1964年創立の古くからある団体です。
私も妻もクラシック音楽を聴くのが好きなので、労音に入会しようかと考えていたところ、たまたま妻が知り合ったルーマニア人のルミさん(仮名。もちろん正教徒)が会員だと分かり、彼女の紹介で今年の1月に入会。1年分の会費も支払いました。
人吉労音は国内の若手演奏者を招いて、三か月に一回、カルチャーパレス(人吉市公会堂)で演奏会を開くことになっています。
ところが3月も6月も、演奏会はコロナのため延期。さらに7月に発生した水害で事務局が損壊し、カルチャーパレスも避難者施設になって演奏会自体が開催不能になってしまいました。それで延期公演も年度内は中止決定です。
せっかく年会費を払ったのに、残念なことになってしまいました。
そして今日、ようやく1年ぶりに演奏会再開にこぎつけました。
会場はカルチャーパレスが今も使用不能のため、あさぎり町の須恵文化ホールで行われました。
地図で見ると鉄道から離れた辺鄙な場所で(今は鉄道自体が不通ですが)、何でこんなところにホールがあるのかと思ったら、町村合併前の旧須恵村の公会堂だったようです。
キャパは500席ほどですが、三密対策で昼夜二回公演です。
演奏者はピアニストの有島京(ありしま・みやこ)さん。
人吉市出身で高校卒業後、ポーランドでピアノを学んで来られた方です。主に海外で活躍されていたのですが、コロナで演奏活動ができなくなり、今は人吉在住です。
スカルラッティ、モーツァルト、ショパンと、タイプの違う作曲者の作品を集めましたが、カチッとした堅実な感じの音楽づくりに、男性的とも言える力強さもあって、素晴らしい演奏でした。
そして何よりも、水害で大打撃を受けた人吉で(市内ではないですが)、演奏会が開催できるまでになったことを心から嬉しく思いました。コロナが心配ですが、三か月後の次回演奏会が開けるよう、ただ祈るばかりです。