今はまさにお盆休みのシーズンで、帰省や旅行で地方に行っている方が多いことと思います。
私も人吉ハリストス正教会のO執事長から代々のご先祖へのパニヒダの依頼を受けて、昨日から一泊で人吉に出張して来ました。
先々月の引っ越しから、2か月ぶりの人吉です。
О邸を訪ねる前、聖歌の楽譜を取りに人吉ハリストス正教会に立ち寄りました。
南国の太陽の下でわずか2か月間で雑草が勢いよく育ち、人の背より高くなっているところもありました…
O家は壇ノ浦の合戦で落ち延びた平清経(清盛の孫)の子孫と伝えられており、江戸時代から代々医師を務めてきた相良村の名士です。相良村に一つしかない病院と老人ホームを営んでおり、先代のご当主は相良村長でした。
地方のお屋敷には「仏間」があるのが普通ですが、キリスト教徒のO邸には仏間ではなくチャペルがあります。
そのチャペルでO家代々のご先祖にパニヒダを献じました。
人吉教会は、人吉出身の資産家・倉本又蔵が大阪で洗礼を受け、人吉に戻って1884年に創設しました。明治時代、九州各地の十数か所に教会が造られましたが、当時の人吉教会は100名前後の信徒数を誇りました。これは九州で最初の正教会である鹿児島教会に次いで第二位の教勢です。
O家は現執事長の先々代当主が明治の終わりに信徒になって以来、中心となって人吉教会を支えて今日に至っています。
祈祷後、O執事長が予約してくれた人吉の温泉旅館「鍋屋」にチェックイン。
鍋屋は人吉藩御用達の旅籠として1829年に創業した老舗旅館です。上皇ご夫妻(当時は皇太子ご夫妻)をはじめ、皇族や著名人が宿泊しています。
4年前の水害で壊滅的な被害を受けましたが、建物を新築して営業を再開しました。
流失を免れた庭石や灯篭が1階のロビーにオブジェとして展示されています。
この日の球磨川の流れは穏やかでしたが、大水害の時は橋の欄干どころか、写真の向こうに見える城壁の上まで水位が上がりました。信じられない思いです。
夜は人吉市内の洒落た焼き鳥屋でO夫妻と作業療法士の娘さん、そして私たち夫婦で夕食。
当然ながら人吉のソウルフードならぬソウルドリンクの球磨焼酎を注文しましたが、この店では焼酎はボトルでしか提供しません。まさに焼酎の里の面目躍如たるものがあります。
カウンターの向こうの棚には常連客がキープしている好みの銘柄のボトルが並んでいて壮観です。球磨焼酎だけでなく、薩摩焼酎をキープしている人もいるのがご愛敬ですが。
こんな調子で「お盆休みの小旅行」的な人吉出張を終え、今日福岡に戻りました。
明日は首都圏への台風接近のため、新幹線や飛行機が運休になるようですね。私はずっと九州にいるので直接の影響はありませんが、大ごとにならないことを祈るばかりです。