九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。熊本県人吉市から情報発信しています。

お盆、終戦記念日、そして教会での祈りの一日

連日の豪雨、九州だけでなく広島県中部地方でも大きな被害をもたらしているようです。

人吉は避難指示は解除されましたが、今日の未明は激しく降りました。明日また再び豪雨が襲来するようで、今から憂鬱な気分になっています。

 

さて、今日は人吉ハリストス正教会で聖体礼儀を執り行いました。


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今日の主題は「五千人の給食」(マタイ14章)です。

これはイエスが5つのパンと2匹の魚を、五千人の群衆に配って満腹させたという奇蹟です。

正教会ではこの奇蹟が聖体機密、すなわちパンと葡萄酒から変化したキリストの体と血に与ることを通して、永遠の生命を獲得するという信仰の根拠の一つだと理解しています。つまり、新約聖書の記事の中でも極めて重要な個所と考えています。

この奇蹟の記事についての詳しい解説は、教会管区のウェブサイトの方に載せています。

 

さて、今日は聖体礼儀の終わりに果物の成聖(祝福)を行いました。本来は主の変容(マタイ17章)を記念する「主の顕栄祭」(8月19日)で行われるものですが、こちらでは平日に聖体礼儀をしていませんので、今日執り行うことにしました。

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果物の成聖

復活祭やクリスマスだけでなく、正教会には伝統として様々な「年中行事」がありますので、そういったものは大切に守って行きたいと考えています。

 

また聖体礼儀に引き続き、幼いころに亡くなった執事長の娘さんのパニヒダを執り行いました。写真は妻が作って持参した糖飯です。

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パニヒダのために妻が作った糖飯

ちょうどパニヒダの最後の祈り「永遠の記憶」を歌い終わったタイミングで正午となり、戦没者への黙祷を呼びかける市役所のサイレンが鳴りましたので、教会内でも黙祷を捧げました。

 

祈祷後、昼食は人吉駅前の仮設商店街「モゾカタウン」で食べることにしました。

お盆ということで提灯が飾り付けられ、特に昨年の豪雨災害の犠牲者にとっては初盆ということで、追悼のための竹灯籠が設置されていました。

ここで出店している方たちが元の場所で営業再開できるには、まだ年数がかかりそうですが、一日も早い復興を祈るばかりです。

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人吉駅前の仮設商店街「モゾカタウン」

また今日は本来、球磨川での人吉花火大会の日。

毎年、アニメ『夏目友人帳』の作者・緑川ゆきさんがポスターを描いていて、今年の分も出来上がっていましたが、コロナ感染拡大のため大会は2年連続で中止に。

犠牲者の追悼と復興祈念で今年こそは、と誰もが思っていたのですが、コロナがなかったとしても、この豪雨と球磨川の増水では花火は無理だったでしょう。残念です。

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幻となった今年の人吉花火大会のポスター

(熊本・鶴屋百貨店で撮影)

お盆も終戦記念日も、キリスト教会とは直接関係がないのですが、コロナと自然災害に苦しめられている今、一日も早く平和な日常が取り戻せるように、そしてその日まで護られますようにと、今日は自分が信じる神にひたすら祈る一日でした。