九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。熊本県人吉市から情報発信しています。

鹿児島でのご縁 ウクライナ避難民支援に向けて第一歩

先週末は鹿児島ハリストス正教会に巡回しました。


土曜日の夕刻に教会に着いて、妻と二人で聖堂内の内装を黒色に模様替えしました。鹿児島の聖堂は広いので、作業に1時間ほどかかってしまいましたが、いかにも「大斎の正教会」という姿になって満足です。

聖堂内を黒色に模様替え

日曜日は「十字架叩拝の主日」の聖体礼儀。

この日は大斎期間の中間にあたり、キリストが私たちのために十字架につけられたことを思い起こして、聖堂内に花で飾られて安置された十字架に伏拝し(ひれ伏し)て讃美します。

十字架のフラワーアレンジメントはいつも妻が作っていますが、今回も前日夕方の聖堂の模様替えと並行して制作しました。

十字架のフラワーアレンジメント

十字架への伏拝


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この日は夏にアメリカに戻ったナオコさんとリュウキくんの母子が、半年ぶりに故郷の鹿児島に里帰りし、教会に参祷しました。(その時の記事では仮名としましたが、この後の記事との関連でカナ書き本名で記載します)5月に洗礼を授けたご両親もお元気とのことで嬉しい限りです。

 

frgregory.hatenablog.com

 

さらに、ナオコさんが自分の中学時代からの友人で紹介したい人がいるとのことで、イベント企画会社「宙の駅」社長の本田静さんを呼んでくれました。(鹿児島の地域インフルエンサーとして活躍されている方なので実名で記載します)

 

本田さんによれば、現在鹿児島県内にウクライナからの避難民が7人おり、支援を考えているとのこと。

わが国の現状の避難民の受け入れ態勢としては、いわゆる難民認定としてではなく、あくまでも日本国内に親戚などの「身寄り」のいる人に限定したものです。日本語ができない彼らは国内での就労は厳しく、また医療費も全額自己負担となるなど、本人や関係者の経済的負担は相当なものになるそうです。

そこで取り掛かりとして、本田さんはその避難民たちにダイレクトに支援金を届けるため、チャリティコンサートを4月に2回、開催を決定しています。

 

本田さんとしては、ご自身も含めてわが国の一般社会にウクライナはもちろん、ロシア・東欧圏の歴史や文化などについて予備知識が少なすぎることを懸念していました。そしてその理解不足の結果、ウクライナの人々を支援するのは良いが、ウクライナへの同情心の過度な反動で、国内のロシア出身者へのいじめに繋がってはいけないと考えているとのことでした。

これは私も以前から全く同じことを思っていたところです。

そこで、ウクライナを中心に、周辺地域の歴史文化を紹介するトークイベントを鹿児島と熊本で開催し、そこで皆さんに理解を深めていただくために私が講話する企画を考えてくださいました。

詳細はこれから詰めますが、復活祭後の5月に開催予定です。

私自身はウクライナは未訪問ですが、前任地時代は毎年のようにセルビアルーマニアジョージアなどの東欧の正教圏に行っていましたし、またそれを紹介する講演もしてきましたので、経験に基づくいわば得意分野で地域の皆さんのお役に立てそうです。

 

私としても、本田さんとお会いできたことで、ウクライナの方たちへの支援のあり方のヒントを得ることができて良かったです。

現状、日本正教会では個別の教会単位で支援金募集を始めたところが出て来ましたが、私自身は現実問題、お金を集めたとして具体的にどこに持って行けば、難民となって苦しんでいる彼らに本当に届けられるのか、判断がつかなくて踏ん切りがつかずにいたのです。

しかし、本田さんのように、既に持っている自治体とのパイプを活用しつつ、日本(この場合は鹿児島県内)にいる避難民を把握し、彼らに直に届ければ確実です。

しかも、私のところのような田舎の小教会が頑張っても、集められる支援金は多くてもせいぜい数十万円でしょうから、数百万人もの避難民全体の救済には雀の涙にしかなりませんが、地域にいる数人の避難民なら確実に助けることができます。

教会管区のサイトに載せた反戦メッセージで、「教会は一人ひとりの人間の救いのために存在しているのです」なんて大見得を切って、実際に自分は何の役に立っているのかと悶々としていたので、自分なりの支援のあり方の方向性が見いだせたような気がします。

 

このご縁を大切にして、今後ウクライナの方たちのために具体的な協力をしていきたいと思っています。