九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。2019年から九州全域を担当しています。

受難週間の祈祷 & ウクライナ支援活動の進展

今週は復活祭前の1週間「受難週間」(Passion Week)です。読んで字のごとく、キリストの受難を記憶する期間であり、毎日祈祷を執り行っています。

月曜日から水曜日までは、それぞれ7つの祈祷(早課、一時課、三時課、六時課、九時課、晩課、先備聖体礼儀)を通しで行います。所要時間は4時間ほどです。

この三日間の祈祷の特徴は、四福音書(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ)の全巻通読を行うことです。キリストの受難は単独で意味をなすものではなく、神の子が人間としてこの世に来られ、福音を宣べ伝え、十字架につけられ、三日目に復活したこと、つまりキリストのこの世での全生涯に意味があるので、それを聖書の朗読を通して振り返るのです。

もっとも全巻はあまりにも時間がかかり過ぎるので、日本正教会では慣習として、四福音書のうちの任意の一巻だけにしています。

今年はヨハネ伝を選びましたが、それだけでも読み応えがあります。しかし、聖書の一節だけでなく、全部を通して声に出して読み上げるというのは、日常のクリスチャンライフの中であまりやらないことだと思います。その意味では、受難週間の三日がかりの福音書通読は意義のあるメニューだなと思っています。

ヨハネによる福音書の通読

 

さて、九州の草の根でウクライナ支援に関わっている方たちと連携を進めていることは既に書きました。

 

frgregory.hatenablog.com

 

5月28日の熊本市での「お話会」は、熊本県立大学のご関係者がとても立派な案内チラシを作ってくださいました。

ウクライナについての「お話会」案内

私の方でもカラーコピーして教会報に同封し、今週末の復活祭の祈祷が終わったら発送することにしています。

来週発送予定の教会報を印刷

また、宮崎市の有志演奏家の音楽投稿サイト "Playing for Ukraine" では、演奏動画がアップされています。

https://sites.google.com/view/playingforukraine/videos

ピアノの前に置いてある生神女マリヤのイコンは、人吉ハリストス正教会の聖堂に安置してあるものです。国民の大部分が正教の兄弟姉妹であるウクライナの人々が、マリヤの転達(取り次ぎ)により救われるよう願って、お貸ししました。

私も復活祭が過ぎたら、聖歌を歌って提供する予定でいます。

 

報道によれば、国連事務総長が今週末の復活祭に合わせて一時停戦するよう、ロシア政府に呼びかけました。

しかし、ロシア政府は拒否しているようです。当たり前でしょう。

プーチン大統領に復活祭を守るくらいの信仰心があるなら、初めから戦争なんか起こすはずがないからです。

そもそも「正教徒にとって復活祭は大切なのだから戦争を止めろ」と呼びかけるのは、ロシアの教会の仕事のはずです。しかし、それをしないのは、教会の存在意義の自己否定以外の何ものでもありません。同じ正教徒の一員として本当に情けなく思います。

 

ウクライナから遠く離れた日本にいる私には、大したことはできないのですが、苦しむ兄弟姉妹の救いのために今後もできることに取り組んでいきます。