鹿児島教会でのクリスマスの前に、先週土曜日に出水(いずみ)を訪ねました。
まず武家屋敷群の「出水麓」へ。
旧薩摩藩では藩内の軍事拠点に武士たちの村「麓」を造り、要塞化していました。先月訪ねた知覧もその麓の一つですが、肥後との国境の出水は麓の中で最大級だそうです。
武家屋敷街に入ると、どの通りにも石垣が築かれています。
出水麓は島津義弘が関ヶ原で敗れた後に築いたもので、400年の歴史があります。幕末に大火があり、屋敷のほとんどはその後で再建されたものだそうですが、それでも築150年は経っています。屋敷のうち半数は空き家になっているものの、あとの半数は今も子孫の方が住んで生活しているとのこと。それにも驚きました。
武家屋敷のうち、税所邸と隣の竹添邸の二軒は内部が一般公開されています。二軒とも比較的最近まで人が住んでいましたが、空き家になって市が買い取ったそうです。
義弘が造った島津家の屋敷「御仮屋」の敷地には、現在は出水小学校が建っていますが、校門は400年前に義弘が造った当時のもので、鹿児島県の文化財に指定されています。今年3月に修復が完成したばかりで、なかなか絵になります。
通りに面した家々の門も江戸時代のままで、時代劇のセットを見るようでした。
ちなみに公開武家屋敷の入場料は510円ですが、一回料金ではなく「年間チケット制」です。年末だったので、来年大晦日まで有効の2021年分チケットも頂けました。また来たくなりました。
武家屋敷町を出て、ツルの飛来地へ。出水は世界有数のツルの飛来地です。
飛来地の田んぼには公園のハトのようにおびただしい数のツルがいて、車でそばを通っても逃げません。
飛来地の中心にはツル観察センターがあり、飛来数が表示されています。この日は17315羽。どうやって数えるのでしょうか。
ツルは観察センター周辺の路上からでも見えますが、220円払って観察センターに入ると、展望台から良く見ることができます。
センター内ではボランティアの小中学生が、出水のツルについて解説をしてくれます。
それによれば飛来するツルの九割が小さくて黒いナベヅル、一割弱が大きくて灰色のマナヅルです。一般にイメージされるタンチョウヅルは、ここには来ないそうです。
ツルの飛来は今頃がピークで、2月から3月にかけて故郷のシベリアに帰ってしまうそうです。ちょうど見ごろに彼らと会うことができてラッキーでした。
日が暮れる前に鹿児島教会に着いて、翌日のクリスマスの準備をしたかったので15時半に出水を後にしましたが、わずか4時間の滞在とはいえ、素晴らしい経験ができて充実した一日でした。