今日、待ちに待った新教会「九州北ハリストス正教会」の開所の日を迎えました。
開所にあたっては、一昨日から妻と福岡のホテルに泊まり込み、二日間かけて最終準備をしました。
まずは1月13日に搬入した段ボール類を開梱し、什器備品を配置。
さらに新教会に必要な備品をリストアップし、ホームセンターで買い込みました。
最優先で購入しなくてはならなかったものはカーテンです。
イコンの色調に合わせて、カーテンの色はゴールドを選びました。
しかし、色以上にこだわったのは安全対策です。
正教会の会堂ではロウソクをたくさん灯すため、カーテンに引火して火災が発生したら、多くの信徒の生命を危険にさらすことになります。そんなことは絶対にあってはなりません。
そこで割高を承知の上で、防火仕様の生地のカーテンを選びました。
もちろん消火器も購入し、礼拝所内に備え付けました。
また旧福岡伝道所は手狭だったため、スリッパや傘立て、上着をかけるためのハンガーなど、参祷者のための備品がほぼ皆無でした。そこで、新教会では参祷者が不便を感じないよう、それらの備品も購入して備え付けました。
一通り什器備品をセッティングしてから、いよいよ壁にイコンを取り付けました。
福岡伝道所にはあまり多くのイコンはなかったため、壁面はスカスカですが、それでも少しは正教会ぽくなったように感じます。
旧伝道所にあった唯一大きなイコンは、畳半畳ほどもあるキリストのイコンですが、重みで落下して信徒に当たってはならないと思い、礼拝所のドアの前の廊下に飾りました。
玄関には鹿児島の工芸家の方に額装してもらった生神女のイコンを飾りました。
ここまで準備して、肝心の今日、参祷者が来なかったらどうしようと思いましたが、それは全くの杞憂でした。
24名の参祷者(うち7名は小学生以下の子ども)が集い、盛大に聖体礼儀と感謝祈祷を執り行うことができました。
新教会の開設に合わせて、新たに通いたいと希望する方たちが来られました。
また福岡の参祷者はアメリカ人をはじめ、海外にルーツを持つ英語話者の方が多いのが特徴のように思います。
日本正教会は亜使徒ニコライが、日本人による日本語の典礼を通して、日本に正教会信仰を根づかせるために築かれましたが、それはもちろん日本人「だけ」の教会を意味するものではありません。
教会は全ての人に開かれており、信仰という共通項でキリストとの一致を目指す場であって、そこに民族的なアイデンティティによる分断を持ち込んだら、もはやキリスト教とは呼べないと考えます。残念ながら世界の正教会の中には、そのような民族主義的思想を標榜している人々も少なくないのですが…
その意味で、福岡ではコスモポリタン的な「教会のあるべき姿」を目指していくことができそうです。
新教会にはまだ聖堂はなく、司祭館の一室を礼拝所としてスタートしたばかりですが、多くの人が集まる教会を目指し、近い将来に聖堂を建立して未来に続く教会を築き上げたいと思っています。