九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。2019年から九州全域を担当しています。

福岡伝道所 最後の一日

昨日、1月7日(ユリウス暦の12月25日)は、日本正教会の降誕祭。

福岡に巡回し、福岡伝道所での最後の祈祷を執り行いました。

福岡伝道所は2010年5月、福岡での宣教のために仮設のプレハブ小屋で発足し、毎月祈祷を行ってきましたが、いま進めている司祭常駐型の教会新設計画にともない、その役割を閉じることとなりました。

 

普段から通っている信徒はもちろんのこと、遠方から数年ぶりに参祷した米国出身のエレミアさん一家、ウクライナから太宰府市日本経済大学に避難している学生さん、初めて来た九州大学エジプト人留学生のマリアさんなど、出身地も居住地もさまざまな人々が集まり、正味8畳ほどの伝道所が23人の参祷者でギッシリとなりました。嬉しいことです。

ちなみにマリアさんが所属するコプト正教会も教会暦はユリウス暦なので、降誕祭は私たちと同じ1月7日です。

たくさんの参祷者

説教。座れるスペースがあまりない。

 

せっかくの降誕祭、かつ伝道所の「お別れ」の日ですが、狭すぎて大人数の会食はできないので、クリスマスケーキ代わりに亀の形のメロンパンを切り分けて配り、シャンメリーで乾杯しました。

このメロンパンは娘が働いているベーカリーで焼いた特注品です。

クリスマスケーキ代わりのメロンパン

この後、希望者を募って来月オープンする新教会の見学会を行いました。

新教会見学会

これまでの狭苦しい伝道所と違って、広くて木の香りが一杯の新教会の信徒の評判は上々です。当たり前ですが。

何より、最寄り駅から徒歩で来られるし、車で来ても複数台数の駐車スペースがちゃんとあります。旧伝道所も一応同じ最寄り駅ですが、駅から遠すぎて徒歩では厳しく、また敷地内に駐車する以前に、道幅自体が狭すぎて車が通れない場所にありましたので、交通の便が格段に改善されました。

これは、新教会の用地を選定するにあたって私が最もこだわった要素です。教会はたくさんの人が通ってナンボなのですから、どんなに見かけが立派であっても、交通が不便なために信徒が通えなかったら本末転倒だと考えるからです。

エジプト人マリアさんも大変喜んで、これから毎月ここに通いたいと言ってくれました。コプト正教会の信徒は神学上の違いのため、日本正教会で領聖(キリストの体と血に与ること)はできませんが、同じ東方キリスト教のコミュニティが日本の福岡にあることに共感したようです。

また彼女の他にも、これまでより交通の便が良くなったことで、遠方に住んでいて教会に通えなかった人や、ウクライナ人避難者のように日本の地理に不慣れな外国人も、今後は来るようになるかも知れません。

その意味で、福岡の新教会開設には希望があると思っています。

 

見学会を終えて解散した後は、妻と再び伝道所に戻り、引越しの荷造りです。

コストを安く上げるため、荷造りと大型家具の解体はすべて当方ですることが条件で業者と契約したので、荷物は多くはありませんが夕方までかかりました。

教会の引越しの荷造り

福岡伝道所の最後の日は長い一日となりましたが、将来への希望にあふれた良き日でした。