九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。熊本県人吉市から情報発信しています。

台風一過 生神女誕生祭

今日はユリウス暦の9月8日。正教会ではイエスの母マリヤの誕生を記念する生神女誕生祭です。

イコン「生神女誕生」

マリヤの誕生を記念することは、ローマ帝国キリスト教が公認された4世紀に始まりました。これはキリストの降誕を祝う降誕祭(クリスマス)の始まりと同時期です。

もっとも、実際にイエスが生まれたのは何月だったか不明であって、「降誕の記念」を12月に行う祭がクリスマスであるのと同様、マリヤの実際の誕生日がいつだったかも不明です。あくまでもマリヤが生まれたことを9月に記念する、という考えです。

ただ、神学的なことを抜きにしても、秋分に近い今は欧米の多くの地域、またわが国でも秋の爽やかな時期であり、この9月21日というのは実に祭にふさわしい日程ではないかな、と思っています。

 

さて、日曜日に猛烈な台風14号が襲来しました。

鹿児島市に上陸したのが日曜日の夜だと書きましたが、台風は薩摩半島を北西に移動し、有明海を経由して柳川に再上陸。さらに福岡県を横切って月曜日に関門海峡から本州に入りました。

本州に入ってからは急速に勢力が弱まったようで、あまり本州の被害は伝わっていないのですが、宮崎県では9月1か月分の雨が一日で降るような豪雨に見舞われ、それなりに被害があったようです。

 

わが人吉でも球磨川が氾濫危険水位を超え、月曜の午前3時すぎにスマホが急に鳴り出して避難指示を伝えました。

一昨年の球磨川の氾濫も未明に起きたので、またかと思うと不安で眠れなくなってしまいました。

夜が明けた後も夕刻まで、吹き返しの強風と大雨が続いていたので、一歩も外に出られませんでした。

 

昨日の火曜日の朝、ようやく台風一過の秋晴れとなったので、人吉教会に被害の有無を確認しに行ってきましたが、建物の破損も雨漏りも一切なし。

鹿児島教会でも執事長が聖堂と信徒会館を確認し、被害がなかったと連絡をくれたので、やっと安心しました。

しかし、人吉市の東隣の錦町ではかなり広い地域で停電が発生し、12時間も続いたと聞いたので、人吉教会に寄った後、錦町の方に行って球磨川の様子を見てきました。

火曜日の時点で水位はだいぶ下がっていましたが、普段の清流とはまるで違う濁り水で、流れは激しいままでした。

台風の翌々日、球磨川の濁流(錦町)

さらに錦町内では球磨大橋が水圧で損壊し、国道も不通になっていると報道されていました。

 

一昨年の水害の時は、人吉市下流球磨村は大変な被害で、錦町はほぼ無傷に近かったのに、今回は人吉市には被害がなく、上流の錦町が被災したわけです。

つくづく、この人吉球磨地方で、予測不能大自然と向かい合う暮らしの厳しさを実感しています。

 

付近の田んぼはすっかり色づいて、収穫を待つばかりになっています。せめて稲刈りが終わるまでは台風を来させないようにと、今日はマリヤに神への取り次ぎを祈りました。