九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。2019年から九州全域を担当しています。

荒れ果てた線路~消えた鉄道の風景

7月の水害で人吉球磨を通る鉄道(JR肥薩線くま川鉄道)は甚大な被害を受け、今も不通のままです。

 

近所の肥薩線の踏切から線路の方を見ると、あまりにも荒れ果てていて言葉を失います。

雑草だけでなく、低木まで生えてきて、まるで川原のようです。

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荒れ果てた肥薩線の線路。10月26日撮影

 

同じ場所でつい半年前、SL人吉号が通るところに偶然遭遇し、撮った写真はこちらです。

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ありし日のSL人吉

 私自身は学生時代からローカル線の旅が大好きでした。それで人吉に来てから、肥薩線の景観を楽しもうと2月に特急かわせみ・やませみ、3月にSL人吉号に乗ってみました。

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人吉駅で「かわせみ・やませみ」と「いさぶろう・しんぺい」が並んで停車

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人吉駅で出発を待つSL人吉

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肥薩線のローカルな駅の風景。水害で駅は破壊された

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車窓からの風景。水害で橋も道路も線路も流失した。

 

これらの観光列車はこの後、コロナの緊急事態宣言を受けて運休に。6月に運行再開後、たった一か月で水害のため、何もかも失われてしまいました。

鉄道の復旧は巨額の費用がかかるうえ、もともと赤字路線でしたから、いつ復旧できるかどころか、そもそも復旧されるのかどうかも全く不明です。

 

しかし、鉄道は車を運転できない人々、特に郡部の高校生にとってはほぼ唯一の通学手段です。

くま川鉄道は通学時間帯だけ、チャーターバスによる代行運転が行われていますが、肥薩線については並行する国道自体が今も通行止めのため、八代の高校に通う生徒は何と高速バス(定期券などないので通常料金)で通学していると、少し前に報じられていました。

 

これまで自分は鉄道好きの旅情という気持ちで見ていましたが、地元の人々にとって公共交通機関の存在は生活に直結した問題です。

その意味で、一日も早い鉄道の復旧を祈るばかりです。