今朝は人吉ハリストス正教会に、日本セルビア協会のH副会長が来訪されました。
日本セルビア協会とは、日本とセルビアとの交流を推進する民間団体です。セルビア人は正教会の信仰に篤く、また中世の歴史ある教会もたくさんある魅力ある国なので、以前から関心がありました。それで私も協会に6年ほど前に入会しました。
2016年10月には協会のセルビア訪問団に参加。ニコリッチ大統領(当時)にもお会いしました。もちろんH氏も一緒です。
H氏からは昨夜電話がありました。「今、人吉に来ているのだが、グレゴリー神父が人吉に転勤したのを思い出した。東京に戻る前に会えないか」とのことでしたので、教会に来ていただきました。
H氏と教会でいろいろ歓談した時、球磨村にあったレストラン「味里」の話になりました。
H氏は味里の店主夫婦と知り合いで、私も人吉に赴任してから、H氏に場所を聞いて食べに行きました。
店は球磨川の川辺にあり風光明媚。店内は店主の趣味で、ウェスタン風な調度品でびっしりと飾り付けられていました。
ところが昨年7月の水害で、球磨村内では球磨川沿いの建物はことごとく流失。道路も通行止めになってしまい、人吉から球磨村に行くこと自体ができなくなってしまいました。
もちろん味里も無くなってしまっただろうと思っていました。
しかし、今日のH氏の話では西人吉駅前の空き地にトレーラーハウスを設置して、営業再開しているとのこと。
そこでH氏が帰られた後、妻と娘を連れて昼に行ってみました。
ありました!
屋台風の店舗で食べ物を注文し、アメリカから運んだというトレーラーの中で食べるスタイルです。
店主に話を聞くと、前の店舗は自己所有でなく借りていた物件。調度品は店主側の負担で揃えたものだったが、建物ごと全て流失。行政の補償金の対象にもならず、大損害だったそうです。
しかし、どうしても店を復活させたい一念で、トレーラーハウスによる大型屋台のようなスタイルで営業再開にこぎつけました。
人吉の市街地にも行政の支援で、仮設商店街が二か所造られていますが、そこがオープンするよりも先に自力で開業したものです。
水害からの再起への熱い思いを聞くことができました。
料理はエビフライカレーを注文。美味しかったです。
窓から外を見ると、西人吉駅のホームと線路が良く見えます。
水害でJR肥薩線は線路と鉄橋が流失し、不通となって再開のめどは全く立っていません。西人吉は元々無人駅でしたが、さらに寂れ、線路も赤く錆びついています。
復興への道のりはまだ遠いぞと見せつけられているようです。
しかし味里の店主のように、行政の支援を待たずに、自力で無からの復興に歩んでいる事業者も何人もいるのです。
そういう人々の思いが結実して、この人吉の復興が完成する日が来るのを見届けたいと思っています。