九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。2019年から九州全域を担当しています。

初めての小倉での聖体礼儀

先週の日曜日は九州着任後、初めて北九州市の小倉で聖体礼儀を行いました。「地区集会」というスタイルです。

前日の土曜日は熊本で講演を行い、終了後に小倉まで移動して宿泊しました。人吉から片道300㎞近い大移動です。

 

日本正教会は明治期、全国に教会を設立しましたが、福岡県内では小倉と久留米に教会が造られました。

どちらの市にも教会堂はありませんが、明治以来の信徒家族が住んでいます。

戦後は長い間、福岡県はなんと神戸教会の管轄で、神戸から神父が巡回し、信徒の自宅などで祈祷を行ってきました。

しかし、二十数年前に九州の司祭常駐教会が鹿児島から人吉に移ったことにともない、小倉や久留米も人吉の管轄司祭が巡回することになりました。

2011年、それまで会堂のなかった福岡市に伝道所が新設。県内の信徒はそこに所属して参祷することになり、今日に至っています。

 

そのような経緯があって、福岡市は九州で抜きん出た大都会であるにもかかわらず、教会としては後発のため、福岡市在住の信徒は少なく、久留米や宗像など、かなり離れた場所から通って来ている信徒ばかりです。

とりわけ小倉は政令指定都市で人口も多く、信徒も複数世帯あるのに、福岡まで距離が遠すぎて聖体礼儀に参祷困難という不都合が生じていました。

もちろん、正教会にはそのような信徒をフォローするために廻家祈祷、つまり司祭による個別家庭訪問というシステムがあるのですが、せめて復活祭のような大祭だけでも信徒が集って聖体礼儀に与れないかと考え、地区集会を開催することにしました。

 

正教会の祈祷は歌うのが必須のため、一般の貸会議室などではできないので、音楽練習用のレンタルスペースを借りました。

北九州市在住の信徒には事前に案内を送って出欠を確認しました。出張しても誰も来なかったら無駄になってしまいますので…

 

当日は京都教会から出張したソロモン伝教者(仮名)に誦経と説教を担当してもらい、地元信徒も6人参祷して、復活祭の聖体礼儀をやりあげました。会堂があっても信徒数が少ない小教会と比べて、全く遜色がない集会です。

小倉で初めての聖体礼儀

 

聖体礼儀を行うためには祭服一式と各種の聖器物類、朗読用の聖書、聖歌の楽譜、そしてもちろんパンと葡萄酒など、必要なものがたくさんあります。それらは普段、聖堂に備え付けられているので、信徒の側が教会に来るならば、司祭の自分も体ひとつで行けば祈祷できます。しかし、レンタルスペースを借りての地区集会では、必要な器材を全て持参しなくてはなりません。

そのようなわけで、今回もたくさんの荷物を車に積んで小倉まで来たわけですが、何年ぶりかで聖体礼儀に与った地元の信徒たちはとても満足していましたので、やった甲斐があって良かったと思っています。

 

正教会では、信仰とは洗礼を受けたらそれで完結するものではなく、日常において実践的なクリスチャンライフを送ってこそ意味があると考えます。そのために教会での祈り、とりわけ聖体礼儀に与ることを何よりも大切にします。

その意味で、いわば「移動式教会」である地区集会を、今後も展開していこうと考えています。