今日は北九州市の小倉に出張し、地区集会として復活大祭の聖体礼儀を執り行いました。
戦前まで小倉には正教会があり、一定数の信徒もいましたが、戦後は教会がなくなり、つい30年ほど前まで神戸教会の司祭が復活大祭の時などに巡回していました。
現在、小倉の信徒は昔より減ったとはいえ、2世帯6人が住んでいます。
2010年に福岡市博多区に伝道所が造られ、今日に至っていますが、博多と小倉は80㎞ほど離れており、小倉在住の信徒は教会に参祷が困難なままでした。
そこで、かつて神戸の神父が巡回で来ていたように、小倉の信徒のために復活大祭を行おうと考え、昨年から年に一度のイベントとして地区集会を始めたのです。
当然ながら小倉に教会堂はないので、昨年同様、音楽練習用のレンタルスペースを借り、聖体礼儀に必要な物品一式を人吉から持参しました。
物品とは、聖体となるパンと葡萄酒を入れるディスコス(皿)とポティール(杯)やその他の聖器物、主の復活のイコン、香炉、朗読用の福音書、祭服一式、配布用のイースターエッグ、参祷者の上履き用のスリッパ、そして当然ながらパンと葡萄酒の現物等々…屋台の店屋でも開くかのような品数です。
今朝は会場に物品を搬入して、妻と設営しました。
10時から聖体礼儀を開始。
小倉在住の6人のうち、病気療養中の1人を除く5人が集まってくれました。
5人中3人は80代でしたが、祈祷が終わった後「また来年も元気にお会いしましょう」と互いに声を掛け合って、満足そうに帰って行かれました。
人吉から小倉までは車で片道3時間以上かかるし、もちろん交通費も相当かかるし、上記のように荷物は多いし、そもそも誰からも依頼されておらず、謝礼もないのに、教会のない場所にこちらから出向いて聖体礼儀をしなければならない義務はないし…しかし、それでも聖体礼儀という機会を通してそこに住んでいる信徒が心から喜んでくれるなら、司牧者としてこれに勝る喜びはありません。
つまり、祈りも信仰もお金には換えられないということです。
そのようなわけで、来年も地区集会で小倉の方たちに会えることを、私も楽しみにしています。