今日はいよいよ、人吉ハリストス正教会での婚配式(正教会の結婚式)の当日となりました。
金曜日に妻と聖堂内を設営。
色彩的にアクセントが乏しかったので、ホームセンターで赤いカーペットを購入して新郎新婦の立ち位置に敷いてみたら、なかなか映えていい感じです。
新郎新婦が持つ蝋燭は、普段の祈祷で使う黄色い蝋燭では美観が今ひとつなので、白い蜜蝋のペアの蝋燭をネットで購入しました。
飾り付けの花も奮発し、聖器物をセッティングしました。
今日は午前中は聖体礼儀で、婚配式は13時に開式。
新郎の親族は長崎市在住。また婚配式の証人や奉仕者は福岡県内の信徒なので、皆さん遠方からお集まりいただいたことになります。
花嫁はオーストラリア出身で、日本には親族はいませんが、この写真や動画を見て下さったら嬉しいですね。
これまで書いてきたように、婚配式は新郎新婦双方が正教徒でない限り行われないため、わが国では頻度は極めて少なく、今日の参列者は信徒でさえも初めての経験の人たちばかりでした。
しかし、滞りなく執り行うことができ、本当に良かったです。一か所だけ、聖歌者が間違えて楽譜に全く書かれていないフレーズを歌いだし、私としてはどう繋げようか焦りましたが、多分歌っている当事者も含めて誰も気付かなかったでしょう。
日本正教会は高齢信徒の比率が多く、普段行っている奉事はどうしても葬儀やパニヒダが中心になりがちです。もちろん、それはそれで大切な祈祷ですが、やはり弔事より慶事の方が、司式していて晴れやかな気分になるのも事実です。
また、新郎新婦のメークや写真撮影などは人吉市内のブライダル業者が請け負ったのですが、「人吉にこんな素敵な教会があるなんて知りませんでした」と驚いていました。一軒だけあった人吉市内の専業の結婚式場は昨年春に経営不振で廃業してしまい(こんなに過疎で高齢化した地方都市では結婚適齢者自体が少ないのでさぞ大変だったでしょう)、青井阿蘇神社を除けばわが教会のような「映える」場所は少ないと思います。
業者さんに「今後は教会での挙式をご希望のお客様に、ぜひこちらの教会をお勧めしたいのですが」と提案されましたが、「ありがたいお話ですが、私どもでは信者でないと教会で結婚式ができない決まりですので」といって泣く泣く(?)お断りしました。
しかし、1933年から同じ場所に建っているにも関わらず、古くからの住民にさえ全く認知されて来なかった人吉教会が、少しずつでも地元の方に知られるようになるのは、これまた嬉しいことです。
このようにいろいろな要素があって、今日は新郎新婦だけでなく、結婚式に関わった私たちが皆、前向きで希望にあふれた気持ちになった一日でした。