人吉のシンボル・青井阿蘇神社は8世紀に創建された神社で、楼門や社殿は国宝に指定されています。
昨年の水害では浸水で大変な被害を被りましたが、急ピッチで復旧が進められてきました。
その青井阿蘇神社の例大祭が10月3日から始まる「おくんち祭」です。
祭のクライマックスは9日の神幸行列。この日は市内の小中学校は休校となり、町内会ごとに神輿が繰り出して市内を行列します。
私も一昨年の着任直後におくんち祭のことを聞き、見に行きました。私が生まれ育った東京にももちろん祭はありますが、こういう全市を挙げての祭礼は見たことがなかったので、大変印象に残りました。
この神幸行列は昨年はコロナのため中止。今年も早々と中止が決まってしまいました。しかし、神幸行列の前夜祭である8日夜の球磨神楽奉納は、昨年は中止になったものの今年は開催されるということで、青井阿蘇神社まで見学に行ってきました。
球磨神楽は国の重要無形民俗文化財に指定されている伝統芸能です。
最も古い記録は1472年ですが、それよりかなり以前から行われてきたものと思われ、正確な起源は不明です。
現在残っているのは全17番だそうで、この日はその中から11番が演じられました。1番あたり10分以上かかるので、2時間以上立ちっぱなしで見ましたが、とても素晴らしかったです。
舞も囃子も他地域にない独特なものとのこと(私は他の神楽との違いが分からないのですが)。確かに飛んだり跳ねたり、足を踏み鳴らしたりする勇壮なものもあって、見ていて飽きません。
現在は球磨神楽保存会のメンバーが行っていますが、昔は村人たちが練習して、年に一度の発表会という位置づけだったのでしょう。娯楽のない時代、人々にとって心待ちにしていたエンターテインメントだったのでしょう。
キリスト教、とりわけ伝統的教派である正教会にも、祭日とリンクした伝統行事が多数存在します。私自身には神社や寺院は異教の神殿ですから、そこを拝むことはもちろんしませんが、人種や宗教の違いを超えて人々に受け継がれている歴史や文化を尊重し、関心を持って行きたいと思っています。
その意味では、九州は古代からの歴史と伝統文化の宝庫のような地域なので、この地に赴任してそういったものと触れる機会が与えられていることに感謝して、日々過ごしています。