九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。2019年から九州全域を担当しています。

また教会で大規模クラスター 密集して大声出すなと何度言ったら分かるのか

コロナの感染拡大のニュースが連日止まりません。

 

熊本県内では8月から既に保育園でのクラスター発生が続発。

つい直近でクラスターとなった熊本市内の保育園では、園児と職員合わせてなんと78人も感染しています。78人です!

外ではマスクを着けても家の中では着けていない人がほとんどでしょうから、感染した園児から保護者へ家庭内感染する確率も高いと思われます。

さらに新学期が始まって、小中高校での感染拡大も予想されます。既に八代市の高校で生徒が80人以上感染確認されています。

やはり「未成年を含め、ワクチン未接種の若年者」が「多く集まる」場所は、ウイルスにとっては格好の環境といえるでしょう。

 

その意味では、先日愛知県で開催された野外フェスのニュースを見た時は腰が抜けそうになりました。

この「NAMIMONOGATARI2021」では、県の指導を無視して多くの人が密集。ノーマスクの人も少なくなかったと報じられました。

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「NAMIMONOGATARI2021」の現場(朝日新聞デジタルより転載)

愛知県はカンカンに怒っているようですが、補助金をもらっていながら、確信犯的に感染防止対策を無視したのですから当然です。

「ノーマスクの若者が密集して歓声」なんて、集団感染の人体実験をやっているようなもの。ゾッとしました。

 

すると今日はさらにクラクラするようなニュースが。

大分県別府市の教会で45人もの集団クラスターが発生。集会での合唱が原因とみられるとのことです。

クラスターとなった「フルゴスペル大分教会」はどういうところかネットで調べてみると、韓国系のプロテスタント聖霊派に属する教会のようです。

写真を見ると一般にイメージされる教会堂より、むしろステージのあるライブハウスのような造りで、バンドの演奏に合わせて参祷者が皆で歌うようなスタイルのようです。

コロナ禍以降、その教会で実際にどのようなスタイルで礼拝が行われていたかは知る由もありません。しかし、流行初期から「ライブハウスのクラスター化」というのは言われてきたわけですし、報道でも「合唱が原因」と書かれていたので、「皆でノリノリに歌う」ような礼拝だったとしたら、感染拡大は当然の結果でしょう。

 

コロナは飛沫で感染すると分かっており、ずいぶん前から密集・密閉した場所で大声を出すなと言われてきたはずです。

個人の趣味で自宅で歌っている分には構わないでしょうが、教会という「人々が集まる」場でそれをやってしまって結果的に信者さんを感染させるのは、本来尊重されるべき信仰を「社会への迷惑」に変えてしまいます。

 

日本正教会では祈祷の開催方式については各管轄司祭に任されているとはいえ、感染防止対策を万全にしています。緊急事態宣言が発令されている都道府県の教会は、多くが礼拝を非公開にし、参祷者を入れないことにしています。

私の管轄では祈祷は執行するものの、「飛沫感染完全防止」に特化して「会堂内で必要な時以外、声を出すことを禁止」しています。もちろん、聖歌を歌うのは私たち夫婦以外不可です。つまり参祷者は中に入れても、黙って立っていてもらうだけなのだから、実質的に非公開礼拝と同じ効果を目指しているのです。

直近の日曜日の聖体礼儀のYouTubeを貼付しますが、合唱を神父夫婦のデュエットに変えても、祈祷として十分成り立っていると自分では思います。


www.youtube.com

 

どんな場所でもコロナ対策は頭を悩ませるわけですが、教会が「社会の迷惑」にならないよう、今後も襟を正してやっていきたいと考えています。