九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。熊本県人吉市から情報発信しています。

大災害から3年 台風21号と北海道胆振東部地震

2018年の二つの大災害から3年を迎えました。神父のブログなのにいつも災害の話ばかりになってしまうのですが、この時は日本正教会も被害を受けましたので、黙って見過ごすことはできません。

 

一つ目は三年前の今日、2018年9月4日に上陸した台風21号です。

この台風は強い勢力を保ったまま、人口の多い関西地方を直撃するという異例のコースをたどりました。

被災住家97910軒は、戦後6番目の規模です。

特に、関西国際空港の連絡橋に流されてきたタンカーが衝突。空港も浸水して5000人もの人々が閉じ込められたました。映画の世界のようなショッキングなニュース映像は今も目に焼き付いています。

 

この時は大阪・吹田市の大阪ハリストス正教会も大きな被害を受けました。

敷地内には大きな木が何本もあるのですが、それらが風でなぎ倒され、エアコンの室外機が吹き飛ばされたり、窓ガラスが割れたりする被害がありました。

また電話とネット回線は1週間以上不通になりました。市街地全体が水没した人吉大水害でも電話の開通は3日後でしたから、大阪教会のように信徒数の多い大教会はさぞ苦労されたことと思います。

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台風21号で倒された大阪ハリストス正教会の木々
(大阪ハリストス正教会公式ページより転載)

 

この台風の被害が報道されている中で、6日未明に「北海道胆振東部大地震」が発生。震源地の厚真町では震度7を記録しました。

この地震では苫小牧の発電所が被災し、北海道全域が停電する「ブラックアウト」が発生。停電期間が長期間にわたったため、北海道経済への打撃は深刻なものがありました。特に北海道の主産業である牛乳生産は、冷蔵できない牛乳を廃棄したり、乳牛が死ぬなどして大被害を受けました。

 

犠牲者は44人に上りましたが、うち36人は震源地の厚真町で土砂崩れに遭った方たちでした。特に町内の吉野地区は住民34人中19人が亡くなるという、壊滅的被害となりました。

この厚真町吉野地区に住んでいた苫小牧ハリストス正教会の執事長夫妻も、土砂崩れで亡くなりました。この地区に引っ越されて1年足らずのことでした。

執事長はいつも頻繁にfacebookを更新されていたのですが、この時を境に全く連絡が取れなくなり、1週間近く経って犠牲者の中で一番最後に発見されました。苫小牧だけでなく北海道ブロック全体の教会活動でも中心的な役割を担っていた方でしたので、計り知れない衝撃を受けました。

大規模災害で日本正教会の信徒が犠牲になったのは、2011年の東日本大震災以来のことです。

 

教会であろうとそれ以外の社会であろうと、日本で生きていく以上自然災害と向き合って行かなくてはなりません。災害の脅威から自分の身を守る備えをするのは当然として、実際に被害を受けた方たちに対して教会はどうしていけばいいのか、自分も災害被災地の教会を司牧する者としていつも思案しています。