九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。熊本県人吉市から情報発信しています。

福岡で葬儀を司祷~「オンライン葬儀」への考え

今日は午前10時から福岡でご葬儀を司祷、夕刻に帰宅しました。

車の走行距離は三日間で670㎞。結構ハードな出張でした。

写真は葬儀の時の花ではなく、土曜日に立ち寄った福岡市植物園で、バラの木に一輪だけ咲いていた花ですが、お別れのために咲いたように見えたので撮影してきました。

 

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一輪だけ咲いていたバラの花

故人は2010年に福岡伝道所が設立される以前から、福岡県内の信徒を取りまとめていた功労者でした。

しかし、ご本人は98歳でもう同世代の親戚や友人はおらず、それに加えてコロナ禍ということで、教会関係者を入れずに喪主である故人の娘夫婦とその妹夫婦、プラス私たち夫婦の計6人でお見送りしました。いわゆる家族葬というものです。

なお、喪主を含めて洗礼を受けている信者は一人もいませんでした。よって聖歌は全て私と妻のデュエットです。

 

喪主夫婦には子どもが2人いるのですが、一人は海外駐在、もう一人は東京在住で、葬儀には参列できませんでした。そのため、喪主のタブレットで彼らに葬儀の動画をライブ配信しました。(こちらの提案ではなく、喪主側の意向です)

火葬場で待機している時に動画を見せていただきましたが、我ながら惚れ惚れする良い声で、とてもサマになっています(笑)。

今後はご葬儀も宗教を問わず、リアルに参列するのは家族だけで、希望者に動画を配信するスタイルが定着するかも知れません。いわばオンライン葬儀です。

 

私自身は教会での自分の祈祷をYouTube配信していますし、あくまでも個人としての見解ながら、関係者限定でのオンライン葬儀にも賛成します。というのは、葬儀に限らずどんな祈りでも大切なのは形式ではなく、その人の心だと考えるからです(キリスト教という宗教自体がそういう考えです)。

よって、参列できない人が形式的な弔電や供花で終わりにする、あるいは葬儀自体を無駄なものとして止めてしまうのではなく、たとえ画面上でも祈りの場を実際に見て、参列者と心を合わせて自分も故人のために祈ることの方がよほど意味があると考えます。

以前にも志村けんさんの一周忌にあたり、葬儀は故人よりも残された者たちのためにあるという視点で投稿しましたが、宗教の持つ祈りのスタイルをしっかり守りつつ、その場に来られない人々が祈る心を共有できる仕組みを追求していけたらと思っています。

もちろん、そのためには司祷する自分自身が、「形式的な祈り」に終始することがないように気をつけなければならないのですが…

 

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