今月、ロシア正教会の渉外局長であるイラリオン府主教の著書『祈りについて』の邦訳が出版されました。
渉外局長とは、総主教をアメリカ大統領に例えたら大統領首席補佐官と国務長官を足したような要職です。ちなみにキリル現総主教の前ポストも渉外局長です。
イラリオン座下はそういう教団執行部の立場にあるだけでなく、神学者として神学大学院の学長であり、また宗教音楽の作曲家でもあります。一言でいえばロシア正教会を代表するマルチ人間です。
そのイラリオン座下の著書が初めて邦訳され、ある神父様からプレゼントしてもらいましたので、読んでみました。
「偉い学者」の先生がお書きになったものは、とかく難解で読むのが苦痛だったりするのですが、本書は違いました。
信者だったら誰でも気になるようなテーマ、たとえば「(祈りの)習慣化の危険性」とか「どうして教会に行かねばならないのでしょうか」といったことを切り口にして、それに対する答えも極めて平易で明解に書いているのです。
著作権の問題もあるので、ここでネタバレの引用をするのは止めておきますが、自教会の会報で、信者向けにひとくちコラム的な形で引用してみようかと思っています。
難しいことを難しく書くのは簡単ですが、難しいことを易しく説明するのは難しいと考えます。その意味では正教徒にはもちろん、正教会の「祈り」についての考え方、特にカトリックやプロテスタントとの違いについて関心がある人には良書ではないかと感じました。
アマゾンなどでも取り扱っており、価格も税込み1100円と廉価なので、お勧めします。
祈りについて イラリオン・アルフェエフ https://t.co/VuX6sdDJpz @amazonJPより
— 九州の正教会 日本ハリストス正教会九州管区 (@ocjkyushu) 2021年1月22日