本日(ユリウス暦の9月17日)は、「ロマの致命女ソフィヤ、ウェラ、ナデジダ、リュボフ」の記念日です。
この4つの名前はロシア人の女性の人名として大変ポピュラーであり、よって今日は多くのロシア人女性にとって聖名日(洗礼名の聖人の記念日)となるわけです。
ソフィヤ(わが国で一般的にはソフィアと表記)は母親で、ウェラ、ナデジダ、リュボフは彼女の三人の娘の名です。
彼女たちは2世紀の人物で、篤いキリスト教信仰の持ち主でした。しかし、当時のローマは迫害時代であり、彼女たちも当局から棄教を強いられました。
それを拒否した彼女たちはハドリアヌス帝の前に引き出されました。ソフィヤを棄教させるため、彼女の見ている前で娘たちは一人ずつ酷い拷問を受けましたが、彼女たちは棄教を拒否して斬首されました。皇帝はソフィヤが娘たちの救いを信じて動揺しなかったのを見て、彼女を棄教させるのは不可能と諦め、ソフィヤを釈放して娘を葬らせることを許しました。
これは西暦137年の出来事で、当時ウェラは12歳、ナデジダは10歳、リュボフは9歳だったと伝えられています。
ちなみにソフィヤはギリシャ語で「英知」とか「知恵」という意味です。さらに三人の娘の名はスラブ語(現代ロシア語も同じ)で、ウェラは「信仰」、ナデジダは「希望」、リュボフは「愛」という意味です。「信仰、希望、愛、この三つはいつまでも残る」(コリント前13:13)という聖句から採られたもので、キリスト者として最も重要な三つの心構えを体現していると言えましょう。
キリスト教がキリルとメトディオスによってスラブ民族に宣教され、聖書が彼らの言語に翻訳されたのは9世紀なのに、なぜ2世紀のローマの人がスラブ語の名前なのか、というツッコミどころはあるのですが(笑)、実際この4人の聖人伝はロシアを中心として、スラブ系教会において定着しています。そのため、彼女たちにちなんで名づけられたロシア人女性も多いというわけです。
ちなみに私には4人の子どもがいますが、上の3人には「信仰・希望・愛」にちなんだ名をつけています。彼らが生まれた時点では、私たち夫婦は正教徒ではなく、カトリック信者だったのですが。
正教会に帰正(改宗)した後で4人目が生まれましたが、その時は「ソフィヤと三人の娘」のことは知らなかったので、「英知」や「知恵」などとは全く関係ない名前をつけてしまいました…
しかし名前がどうであれ、「信仰・希望・愛」は上記のように、私たちキリスト者が最も大切なものとして追求していくことですから、今日記憶される三姉妹にちなんで自分も普段のいい加減さを見直したいと思っています。