九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。熊本県人吉市から情報発信しています。

人物

夏目漱石の家と部屋

本日、2月9日は文豪・夏目漱石の誕生日です。 夏目漱石(1867-1916) 今日、ラジオで熊本のローカルニュースを聴きながら車を運転していたら、嬉しい報せが飛び込んできました。 2016年の熊本地震で大きな被害を受けた熊本市内の夏目漱石の家「内坪井旧居」…

熊本のハンセン病者の母 ハンナ・リデル

節分の今日、2月3日は福澤諭吉や先代の市川團十郎など、何人かの有名人の命日でもあります。 しかし、2月3日に亡くなった人物の一人として、熊本県民である私はハンナ・リデル(1855-1932)の名も忘れることはできません。 ハンナ・リデル(1855-1932) ハン…

熊本に巡回 夏目漱石の足跡探訪

今週末は熊本ハリストス正教会に巡回しました。 熊本ハリストス正教会での聖体礼儀 www.youtube.com K執事長と結婚して60年近くも連れ添い、今月で米寿を迎えた妻のM子さんが来月に洗礼を受けることが決まったのですが、今日はさらに別の80代女性のOさんから…

漱石と八雲 熊本と早稲田

本日、12月9日は文豪・夏目漱石(1867-1916)の命日です。 漱石はわが熊本とも縁の深い人物です。 夏目漱石(1867-1916) 1893年に東京帝国大学英文科を卒業した漱石は、東京高等師範学校(現・筑波大学)、旧制松山中学(現・松山東高校)の英語教師を経て…

北原白秋 没後80年

11月2日はわが国を代表する詩人・北原白秋の命日です。亡くなったのは昭和17(1942)年なので、一昨日で没後80年となります。 北原白秋(1885-1942) わが九州が生んだ大文学者であるだけでなく、私個人にとっても母校・早稲田大学の大先輩です。 柳川市では…

ロシア・ウクライナの西洋音楽の開祖 ボルトニャンスキー

本日、10月28日はロシアの作曲家、ドミトリー・ボルトニャンスキー(1751-1825)の誕生日です。 ドミトリー・ボルトニャンスキー ボルトニャンスキーは1751年、ウクライナ(当時はまだロシア領ではなくコサック国家)のフルーヒウで、ウクライナ人聖職者の子…

榎本武揚 ニコライ大主教との接点

本日、10月26日は旧幕臣・榎本武揚(1836-1908)の命日です。 榎本武揚(1868年) 榎本は戊辰戦争の最終決戦である箱館戦争で、旧幕府軍の最高指導者だったにもかかわらず、生き延びて明治新政府で活躍し、後に大臣も歴任するという極めて珍しい経歴の持ち主…

熊本県が生んだ偉人 北里柴三郎

本日、6月13日は近代日本医学の父・北里柴三郎博士(1853-1931)の命日です。2024年に発行される新千円札の肖像に選ばれた人物としても注目されていますね。 北里柴三郎(1853-1931) 北里博士の功績を列挙してみると、以下のようになります。 1889年 世界で…

ミケランジェロとルターとバチカン

本日、2月18日はミケランジェロ(1475-1564)とマルティン・ルター(1483-1546)の永眠日です。 二人の没年は違いますが、16世紀の西欧史の二人の巨人のいわゆる命日が同日ということに、何だか不思議な繋がりを感じています。 二人は当然、面識はないのです…

人吉から水俣へ 今も水俣病患者のために働くドクター

今日は人吉ハリストス正教会で生神女庇護祭の聖体礼儀。 生神女庇護祭は人吉教会の堂祭(教会の記念日)ですが、コロナ禍でもあり、祈祷以外に祝賀会などの行事は行いませんでした。 生神女庇護のイコンを教会の境内に咲いた花で飾り付け www.youtube.com そ…

三浦綾子作品『われ弱ければ 矢嶋楫子伝』の映画化

本日、10月12日は作家・三浦綾子の永眠日です。 代表作『氷点』は広く知られていますが、彼女は何度も病魔と闘いながらプロテスタントの熱心な信仰を貫いた人でもあります。 彼女の作品に、わが熊本が生んだ矢嶋楫子(1833-1925)について書いた『われ弱けれ…

信仰・希望・愛の三姉妹 今日は多くのロシア人女性の聖名日

本日(ユリウス暦の9月17日)は、「ロマの致命女ソフィヤ、ウェラ、ナデジダ、リュボフ」の記念日です。 この4つの名前はロシア人の女性の人名として大変ポピュラーであり、よって今日は多くのロシア人女性にとって聖名日(洗礼名の聖人の記念日)となるわけ…

海老名弾正と徳富蘆花 わが熊本が生んだキリスト者たち

台風14号は夜のうちに九州を抜けました。意外なことに、台風が福岡県に上陸したのは観測史上初だそうです。 東日本が影響を受けるのはこれからかも知れませんが、九州の被害はほとんどなく、安心しました。 さて9月18日は、第8代同志社総長・海老名弾正(185…

クララ・シューマンについて

9月13日はクララ・シューマン(1819-1896)の誕生日です。 彼女は作曲家ロベルト・シューマン(1810-1856)の妻としてだけでなく、本人も女性作曲家のいわば草分けとして有名です。 ロベルトとクララ・シューマン夫妻 ドイツがユーロを導入する以前の100マル…

トルストイの「破門」とは何だったのか

今日は私たち夫婦の結婚記念日です。 もっとも、妻は昨日が二回目のコロナワクチン接種だったので、副反応を考慮してお祝いはささやかながら先週末にしました。肝心の副反応は現時点で全くないのですが(笑)。 さて9月9日はロシアの文豪・トルストイの誕生…

マザーテレサの故郷の思い出

今日、8月26日はマザーテレサ(1910-1997)の誕生日です。 マザーテレサ(NHKアーカイブスのサイトより転載) マザーテレサの偉業は改めて言うまでもないのですが、彼女はインド・コルカタで活動していたので、私は恥ずかしながら10年ほど前まで、彼女はイン…

本のすすめ~朝井まかて『白光』

今日は本のお勧めを。 2014年度の直木賞受賞作家・朝井まかて氏の小説『白光』です。 朝井まかて『白光』 日本初のイコン画家、というより日本初の女性西洋画家・山下りん(1857-1939)の生涯を書いた伝記小説です。 文藝春秋の「オール読物」2018年7月号か…

日本軍国主義の殉教者 セルギイ府主教

8月10日は、日本正教会の第二代首座主教・セルギイ府主教が永眠した日です。 セルギイ府主教(1871-1945) セルギイ師は1871年、ロシア北部の古都ノブゴロドで生まれました。ノブゴロドの神学校を経て、サンクトペテルブルクの神学アカデミア(大学院に相当…

マグダラのマリヤは元「罪深い女」? 聖書を恣意的に切り貼りしてはいけない

本日、8月4日(ユリウス暦の7月22日)はマグダラの聖マリヤ(St. Mary of Magdalene)の祭日です。 彼女は福音書の中に何回も登場しており、特に復活したキリストに最初に出会い、使徒たちに復活を告げ知らせた重要人物です。 マグダラの聖マリヤ マグダラの…

日本人初の正教会司祭・澤邊琢磨 キリストに仕えたサムライ

月に一度の鹿児島教会巡回では、聖体礼儀に引き続いてその月に永眠した信徒のためにリティヤ(短い永眠者祈祷)を献じています。 この間の日曜日は6月の永眠者として、1913年6月25日に永眠した長司祭パウェル澤邊琢磨師も記憶されました。 澤邊琢磨師(1834-…

初代京都の主教 聖アンドロニク

昨日、6月20日は「神品致命者・ペルミの大主教聖アンドロニク」の祭日(記念日)でした。 彼は最初の京都主教であり、わが西日本教区では、主教座である京都ハリストス正教会の聖堂建立100周年にあたる2003年に、日本語で「初代京都の主教」という文言を入れ…

時代を拓いた女性たち 熊本四賢婦人とプロテスタント信仰

本日、6月16日は明治から大正にかけて活躍した教育者・社会活動家の矢嶋楫子(1833-1925)が永眠した日です。彼女は幕末から明治にかけて、男尊女卑の価値観が当たり前だった時代に、女性の教育と地位向上の分野でリーダーシップを発揮した女性です。 そして…

コンスタンティヌス大帝 世界史の授業でちゃんと教えていないこと②

今日はコンスタンティヌス大帝の話の続き。彼が天下統一に成功してローマ帝国の最高権力者になった後のことです。 コンスタンティヌスはまず、首都の移転に着手しました。 ローマ帝国は元々、イタリア半島の都市・ローマからスタートして大国になりました。…

コンスタンティヌス大帝 世界史の授業でちゃんと教えていないこと①

6月3日(ユリウス暦の5月21日)は、正教会でコンスタンティヌス大帝(日本正教会の表記ではスラヴ語読みでコンスタンチン)と、母親のエレナ皇太后の記念日です。二人は使徒ではないが、使徒に匹敵する働きをした聖人に与えられる「亜使徒」という称号で呼ば…

スラヴ民族に文字を キュリロスとメトディオスの功績

5月24日(ユリウス暦の5月11日)は、キュリロスとメトディオス兄弟の記念日です。 彼らは9世紀にテッサロニキで生まれたギリシャ人で、弟のキュリロス(スラヴ語でキリル)はスラヴ語のアルファベットである「グラゴル文字」を考案しました。彼らの死後、弟…

ナイチンゲールの名言「犠牲なき献身こそ真の奉仕」

今日、5月12日は国際看護師の日(International Nurses Day)です。わが国では独自に「看護の日」と呼んでいます。 これは今日が、看護師を従来の召使の立場から医療専門職に高めたフローレンス・ナイチンゲール(1820-1910)の誕生日であることに因むもので…

キリスト教社会共通の人気者 聖ゲオルギオスの日

今日はユリウス暦の4月23日、聖ゲオルギオス(日本正教会の表記は聖大致命者ゲオルギイ)の祭日です。 ゲオルギオスは古来、東西キリスト教会に共通して大変人気のある聖人です。ジョージ(英語)、ジョルジュ(フランス)、ジョルジョ(イタリア)、ホルヘ…

エジプトのマリヤについて&英国王室と正教会

今日は人吉ハリストス正教会で大斎第五主日の聖体礼儀を執り行いました。 www.youtube.com この大斎第五主日はエジプトの聖マリヤを記憶することから、「エギペトのマリヤの主日」(エギペトはエジプトの教会スラブ語読み)ともいいます。 エジプトの聖マリ…

亜使徒聖ニコライ祭にあたって~私たちの宗教は「キリスト教」であって「ロシア教」ではない

本日は亜使徒聖ニコライ祭。1912年2月16日、日本に東方正教会のキリスト教を伝えたニコライ・カサーツキン大主教が永眠、1970年に列聖されたことで「永眠日」から「聖人の祭日」となりました。 亜使徒聖ニコライ わが国では私たちの信仰する宗教を「ロシア正…

聖ニノの記念日~ジョージアの旅

1月27日(ユリウス暦の1月14日)は、コーカサスの国・ジョージアに初めてキリスト教を伝えた聖ニノの記念日です。ちなみに日本正教会はロシア語読みに従って名を「ニーナ」と表記しますが、彼女の母語のギリシャ語でもジョージア語でも読みは「ニノ」です。 …