2月11日(火)、京都ハリストス正教会で「冬季セミナー」が開催され、妻と京都まで行ってきました。
冬季セミナーとは西日本教区主催の行事で、毎年2月に講師を京都または大阪教会に呼んで講演会を行うものです。
私自身も2022年に講師として、イスラームと正教会の比較神学的なお話をしたのですが、コロナ禍の真っ最中だったため、オンライン開催となってしまいました。

今回の講師は美術史家でセルビア中世美術史が専門の嶋田紗千先生。セルビアで洗礼を受けた正教徒でもあります。(公開イベントのため実名で記載します)
私はセルビア正教会に関心があり、嶋田先生とも、それこそ彼女が洗礼を受ける以前の10年以上前から知り合いだったので、今回喜んで講演を聴きに行ったのです。
私はこれまで何回もセルビアを訪ね、現地の歴史的な聖堂を訪ねて古いフレスコ画のイコンを見てきました。だいたいわが国の鎌倉時代から室町時代くらいに描かれたものばかりなので、壁画が綺麗に保存されている聖堂はほとんどなく、ボロボロになっているところが多かった印象です。
嶋田先生はセルビアで、その壁画修復プロジェクトに携わってきた人です。
2021年にジュルジェヴィ・ストゥボヴィ修道院のドラグティン王礼拝堂、2022年にヴェリキ・クルチミルの昇天聖堂の二か所を修復しましたが、日本人スタッフはもちろん彼女一人だけでした。


講演の演題は「中世セルビア 聖堂のフレスコ画が語るもの」です。
中世セルビアとは、12世紀末の建国から15世紀末にオスマン帝国に滅ぼされるまで約300年存続した王国で、国教である正教会の文化が栄えた地です。
嶋田先生の講演によれば、歴代の王たちがそれぞれ自分の霊廟として、絢爛豪華な聖堂や修道院を創建してきたとのこと。私が訪ねた修道院も、そういう場所だったわけです。

嶋田先生は、セルビアの時代ごとの聖堂の建築様式の違いを述べ、さらに聖堂内の各部分ごとに描かれているイコンの構図や、配置のルールについて話されました。
私自身はその壁画に描かれている人物が誰で、場面が何であるか見ればすぐ分かるので、これまでイコンの配置などまるで気にしていなかったのですが、ちゃんと意味があってそう描かれていると知らされて、不勉強を恥じるばかりです…
教区で事前に広報していたこともあってか、聴講者は70名(正教会関係者20名、教会外50名)と大盛況でした。
冬季セミナー自体は二十年ほど前から続いている行事ですが、過去最多クラスの人数だったようです。
やはり東方正教会のみならず、またクリスチャンに限らず、キリスト教美術に関心を持っている人は多いんだなあと思わされました。

私自身は、海外でのフレスコ画修復というのは日本人にはなかなか馴染みがない話なので、具体的な作業内容や苦労話を聴きたかったのですが、どうしてもセルビアの中世史や正教会のイコンについての基本的な説明に尺を取られがちでした。
もっとも私が聞きたいことは講演の演題から外れているし、実際の聴講者も教会外の人がほとんどだったので仕方ないです。一応、質疑応答時間の中で質問して尋ねたので良かったですが。
ともあれ前述したように、これまで気にしていなかったイコンの構図や配置について知ることができて、京都まで行った甲斐がありました。
今度セルビアにはいつ行けるかな、という楽しみも膨らんでいます!