九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。2019年から九州全域を担当しています。

失われた風景の思い出~肥薩線を通るななつ星

私が人吉に越して来たのは昨年10月ですが、7月4日の水害でそれまでの9か月間で見た風景のうち、二度と見られなくなってしまった(数年、または数十年後には再び見られる日がくるかもしれませんが)ものがいくつもあります。

折に触れ、それを紹介していくことにします。

 

私の引越しに当たって車の陸送を手配しましたが、実際に到着したのは引越しから1週間ほど経った10月11日でした。

これでようやく大きな買い物ができると思い、早速車で家を出たら、いきなり近所のJR肥薩線の踏切に引っ掛かりました。

肥薩線は2時間に1本くらいしか列車が通らないので、タイミングが悪いなと思って見ていると、通ったのは幻の寝台特急ななつ星」。

九州7県を走っている不定期ダイヤの高級列車で、この時たまたま肥薩線を通ったものと思います。

思わず車の中からスマホで写真を撮りました。

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肥薩線の踏切を通過する寝台特急ななつ星

見ず知らずの地に転勤になり、心細い気持ちも多少あったのですが、何だか幸先がいいかも知れないという前向きな気分に切り替わりました。

 

肥薩線は今回の水害で壊滅的な打撃を受けて、現在も復旧の見通しは立っていません。この写真の踏切は草ぼうぼうになっています。

したがって、この線路の上をななつ星だけでなく、列車自体が走るのを見ることは、何年先のことになるか分かりませんし、もしこのまま肥薩線廃線になれば、列車の姿自体を二度と見られません。

 

この時の思い出を記憶に留めるとともに、一日も早い復旧を今は祈るばかりです。