九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。熊本県人吉市から情報発信しています。

お化け屋敷脱却へのコストダウン作戦

人吉ハリストス正教会の旧司祭館を、被災した子どもたちのために改造中であることは、連日書いているとおりです。

昨日は屋内を直してもらいましたので、今日は屋外の改造に向けて進めることにしました。

 

「旧司祭館」と表現していますが、昭和8年に建てられたこの建物に神父が住んでいたことは、実はあまりありません。

1880年代創立の人吉ハリストス正教会の歴史の中で、管轄司祭は鹿児島から巡回で来ていた期間がほとんどでした。

昭和31年から30年ほどT神父という人が常駐していた期間はほとんど、湯前町の奥さんの実家に住んでいたそうで、やはり人吉に住んでいた時期は長くないようです。

私の前々任者のO神父は在任中に鹿児島から人吉に常住地が異動し、20年ほど前までこの建物に住んでいましたが、よほど老朽化が酷かったのでしょう。人吉市内に家を買って引っ越し、そこを司祭館にしました。それが現在、私がO神父から借りている物件です。

 

旧司祭館には戦後、信者でないXさんを住まわせ、家賃代わりに敷地内の管理をさせていたようです。

しかし、Xさんもかなり以前に亡くなり(住んでいた室内に入ってみたら、貼ってあったカレンダーが昭和55年!)、教会に取り壊すお金もないため、この物件は長く空き家で放置されてきたわけです。

Xさんはおそらく勝手に旧司祭館をトタン張りで増築し、さらに小屋も建てていたのですが(違法建築もいいところ)、それが今となっては屋外に打ち捨てられた家具などと共に、写真のように薄気味悪いお化け屋敷感を否応もなく高めています。

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旧司祭館の増築部分(右)と謎の小屋

 教会が昔からの信者しか来ない場所のままならともかく、外部からの訪問者に見られるのは恥ずかしいと、私は着任時点から思っていました。教会巡りをしている人がこの教会に立ち寄り、ブログに「歴史を感じさせる司祭館がひっそりと佇んでいた」みたいなことを書いていたのを偶然見た時は、恥ずかしくて居ても立ってもいられませんでした。

しかし、解体するとなると全体で数百万円、屋外の謎の小屋だけでも数十万円かかるのは確実であり、費用が捻出できない以上ただ悔しい思いをするばかりでした。

 

今回、Yさんの児童支援活動に協力することになり、副産物としてYさんが知り合いに交渉して、取り合えず小屋だけをDIYで解体してくださることになりました。

子どもたちが小屋の中に入り込んで、万一事故があったら大変なことになりますので、安心しました。

ただし、その人は本職でない以上、小屋に転がっているおびただしい廃棄物を回収できないので、事前に処分することが条件です。

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粗大ごみが山積みになっている謎の小屋

そこで今日、廃品回収業者を呼び、アバウトに見積もってもらいました。その結果、数万円で済みそうなので、発注する予定です。

解体から廃棄まで全部業者に頼んだら、上述のように何十万円も取られてしまうので、コストダウンにかなり成功できそうです。

 

この僻地の教会が何十年も放置して先送りしてきたものを、片付けて生まれ変わらせるというのは、東京の教団執行部は何も評価しないでしょうが、私たち夫婦には「富を天に積みなさい」(マタイ6:20)と言ったイエスが必ず見ていてくださるに違いないと思い、やり甲斐に感じています。何より、ここを訪ねてくる人々、とりわけ水害で苦難に遭った人々を心地よく迎えることができたら本望に思っています。