わが国では本日、3月31日はいわゆる年度末、明日の4月1日から新年度が始まるというのが、社会に定着した慣例です。
教会暦の1年は9月始まり。つまりユリウス暦の9月1日(グレゴリオ暦の9月14日)が元日ではありますが、年間の典礼のサイクルとしては復活祭が起点となります。
今年の正教会の復活祭は4月16日ですが、私は九州全域を受け持っているので、次のようなローテーションで復活祭の聖体礼儀を執り行うことにしています。
正教会では同じ日に複数回、領聖(主の体と血であるパンと葡萄酒に与ること)することはできませんので、一人の司祭は一日に一教会でしか聖体礼儀を行うことができないためです。
4月16日 人吉教会
4月23日 鹿児島教会
4月30日 小倉地区集会(北九州市内のレンタルスペースで開催)
5月7日 福岡伝道所
5月14日 熊本教会
約1か月間、復活祭の祈祷をやり続けることになりますが、日本正教会で私と同様に複数の管轄教会を持っている神父たちは、みな同じ状態です。
ちなみに開始はすべて午前10時です。
復活祭の祈祷は当日の午前零時に開始し、十字行(聖堂の周囲の行進)、早課、時課(場合による)、聖体礼儀という順番で典礼を続けて行います。教会法では日の出前に聖体礼儀を完了させなければならないと定められており(聖書によれば、夜明けにマグダラのマリヤがイエスの墓を訪ねた時点で、イエスは既に復活した後だった)、実際に終わるのは概ね午前3時前後です。
しかし、九州では正教会が一般に知られていないため、真夜中に祈祷を行うことは近隣の苦情を招くことは間違いなく、また信徒の側も高齢者がほとんどで、公共の交通機関が動いていない時間帯に教会に出てくることには無理があります。
そこで厳密には教会法違反かも知れませんが、私の場合は近隣住民の皆さんと参祷する信徒の双方の利益を優先し、通常の日曜日と同じ時間に復活祭の祈祷を行うことにしています。
私が九州に赴任して最初の復活祭は2020年でしたが、コロナの緊急事態宣言が発令されていて、まともに祭儀を執り行うことができませんでした。以来、毎年コロナのために復活祭には「なるべく人が集まらないように」、つまり祭の趣旨と相反するアナウンスをせざるを得なかったのですが、今年こそはこれまでよりも開放的に行えればと思っています。
あと約2週間、大斎と受難週間の祈祷をしっかり行って、希望の見出せるような復活祭を迎えたいと思います。