九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。熊本県人吉市から情報発信しています。

新型コロナ感染について

2月16日は正教会で「日本の亜使徒聖ニコライ祭」。日本正教会創立者・ニコライ大主教(1836-1912)が永眠した日です。

よりによってその日本正教会の記念日に、私自身と同居家族全員(妻と娘)の新型コロナ感染が確認されました。

常日頃、教会に参祷した信徒をコロナに感染させてはならない、そのためにはまず誰よりも司祭自身が感染しないように心がけなくてはならない、などと偉そうな大口を叩いてきたのに、結局自分が感染して、最も身近な信徒であるはずの自分の妻子に移してしまいました。ただただ情けなくて落ち込んでいます。

 

これまでの経緯は次の通りです。

昨年の猛暑の影響か、今年はスギ花粉の飛散が多いようで、スギ花粉症である私は先週からずっと鼻水に悩まされていました。

今週の月曜日、朝起きると喉にいがらっぽい違和感が。

花粉アレルギーが鼻だけでなく、喉まで影響を及ぼしたかと思いました。

 

しかし、昼頃になると37℃前後の微熱が出て来ました。

さすがにこれはおかしいと思い、今週のウィークデーの予定を全てキャンセルし、トイレや食事以外の時は寝室で横になって休むことにしました。

私も妻も、家の中ではマスクを着用し、寝る部屋やリビングで食事する時間帯をずらすなどの対策も取りました。

 

火曜日の朝になると体温は全くの平熱に下がっていました。

しかし、痰がからんで咳がひどく、声がガラガラになってしまいました。

 

ここでなぜすぐ病院を受診しないのか、と指摘されそうですが、今の県の指導としては発熱や呼吸困難などの顕著な自覚症状がある時のみ、かかりつけ医か県の専用コールセンターに電話して指示を受け、指定された医療機関の発熱外来を受診するシステムになっています。

多くの人が医療機関に殺到して業務を麻痺させないよう取られた措置です。

私の場合は火曜日の時点で発熱やその他の重篤な症状がなく、普通の喉にくる風邪と変わらなかったので、発熱外来を断られて自宅待機を求められることが初めから分かっている状態でした。いわゆる「様子見」です。

 

そして昨日朝、前夜から咳が出始めた娘が38℃台の発熱。

妻がかかりつけのM病院に連絡して、そこの発熱外来を受診し陽性が判明。

発症の順番から見て、彼女は私から家庭内感染したに違いないのですが、この時点では私たち夫婦が感染者の「濃厚接触者」となりました。

私自身の症状は発熱外来受診の要件を満たしていませんが、いわゆる基礎疾患(糖尿病)を持つ濃厚接触者に相当するので、娘から陽性との連絡を受けてから、かかりつけのT病院に電話。そこの発熱外来を受診でき、陽性と分かりました。

病院で受け取った検査結果通知

 

妻の症状はこの時点で咳だけで、熱はなかったのでM病院での検査を断られ、病院の隣の調剤薬局で検査キットを購入して自分で検査。やはり陽性でした。

発熱外来であれ、検査キットの購入であれ、どのみち費用は受診者側の自己負担だし、ましてかかりつけの医療機関なのだから、その病院で検査してくれれば良いのにとは思いましたが…

 

いずれにせよ、これで家族全員のコロナ感染が判明。7日間の「外出自粛」を求められたため、妻も娘も勤務先に連絡して仕事を休むことになりました。

 

私に関しては毎週、九州各地の教会を巡回することがルーティンの勤めですが、今週末は鹿児島の巡回日でした。

そこで急いで九州管区のSNS上に、司祭と家族のコロナ感染のため今週末の鹿児島での祈祷を中止することを告知。毎月鹿児島教会に参祷している信徒には電話やメールで直接、巡回中止を連絡しました。

また来週、京都に出張して教区行事の講演会と教職者会議に出席する予定でしたが、行かれないのでホテルと飛行機をキャンセル。教区事務局にコロナ罹患を報告し、講演会のオンライン視聴と会議のZoomでの出席の手配をしてもらいました。

 

一番気がかりなのは私が家族以外、特に教会の信徒に感染させていないかです。

発症を自覚したのは月曜日であり、前日の時点で既に感染していたとすると、日曜日の熊本ハリストス正教会の参祷者に移っていないとも限りません。

不幸中の幸いというか、熊本教会はもともと信徒が少なく、その日は高齢者とはいえ3人(90代2人、80代1人)しか信徒と接触がありませんでしたので、電話ですぐ本人に確認ができました。そして体調に異常をきたした人は誰もいなかったことが分かって、ようやく安堵しました。

 

昨日は娘の熱は39℃台まで上がり、妻は37℃台の微熱でしたが、娘は解熱剤を処方された(現在のところはコロナ治療に関わる医薬品は国費負担のため本人負担なし)おかげで、現在は二人とも平熱になっています。

他の症状は三人とも全く同じ、咳と声の異常のみです。同一のウイルスを共有(?)しているのだから当たり前かも知れませんが。

奇妙なことに発症前にあれほど出ていた鼻水は、ほとんど出ません。家族全員が外出しないことで、屋外のスギ花粉との接触がなくなったためと思われ、またこのウイルスは喉を傷めても鼻にはあまり影響しないのかも知れません。

また典型的なコロナの症状として挙げられている「倦怠感」「息苦しさ」「味覚・嗅覚障害」などは全くありません。

 

結果として幸いなことに、私たち家族は「軽い風邪」程度の症状で済みそうです。しかしワクチンを4回接種し、マスクの着用など常に気をつけていた私が、どこかであっさりとウイルスを貰ってきてしまい、同じ家の中でもあまり顔を合わせなかった娘(笑)にも簡単に移ってしまったことを思うと、このウイルスの感染力は尋常なレベルではないと痛感しました。

「2類から5類へ」「マスク着用は自由」など、コロナは大したことはないと心理的に誤解させる流れが形成されている印象ですが、むしろこのウイルスをなめてかかってはいけないと、文字通り体で覚えさせられた次第です。