九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。熊本県人吉市から情報発信しています。

東京での出来事&個性的なわが子たち②

東京にいる間に、義母の墓参りに行くことにしました。

墓は鎌倉市内のカトリック墓地にあります。

もともと、生後すぐ亡くなった妻の兄のために義父が建てた墓ですが、後に義父の両親や兄など、カトリック信者でない本家の人々も入ったため、今は事実上、妻の実家の墓になっています。

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妻の実家の墓を掃除

義母が亡くなったのは6年前の11月で、命日に合わせて義弟が教会での追悼ミサと会食を準備しているのですが、何度も九州と東京を往復できないので、墓参りだけさせてもらいました。

 

鎌倉から東京に向かい、義父がいる世田谷区内の老人ホームへ。

それまで銀行の社宅住まいだった義父は50年ほど前に世田谷区内にマンションを買い、そこが妻の実家となったのですが、義母が亡くなって義父が一人暮らしになったことに加え、娘夫婦である私たちも遠方に転勤になったため、一昨年にマンションを処分して介護付きの老人ホームに入所しました。

現在87歳の義父は、今のところは介護の必要はなく、生活は何でも一人でできますが、将来要介護になった時に子どもたちを煩わせたくないということで、こういう決断に至りました。

入所してすぐコロナ禍となり、部外者が立ち入れなくなってしまい、今回の緊急事態宣言の解除でようやく面会がかないました。

義父の元気な姿を見ることができて、ひとまず安心しました。

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老人ホームの屋上からの眺め。高層ビルは武蔵小杉のマンション群

さて個性的なわが子たちということで、今日は長女を紹介します。

長女の小学生時代は、私が立て続けに転勤させられた時期と重なり、小学校6年間で4校も転校することになってしまいました。

結局私は神学校に入るために会社を辞め、社宅を出て持ち家に転居したのですが、それは彼女の中学校入学時と重なったので、中学でも同級生は知らない子ばかりです。

今の長女は知らない人ばかりでも、全く気後れせずに誰にでも自分から声をかけて友達になってしまうのですが、子ども時代に転校で友達と別れてばかりなので、自分の努力で新しい友達を作らなければならないという環境が彼女をそうさせたのだと思います。

 

また彼女は男性と同じことをやりたいと思う気性でした。小学校時代に「強くなりたい」と言って始めた剣道は、中学で二段となり、関東大会にも出場しました。

高校に入学すると、硬式野球部に行って「男子と一緒に野球をやりたいので入部させてください」と言いました。断られても食い下がって、結局女子マネージャーになりました。

またバイクを乗り回したいといって、二輪免許も取りました。

 

このように彼女は人と関わるのが好きでガッツもあり、理数系教科が得意なので将来は医療系、特に看護師が最適ではないかと私は考え、看護学科への進学を勧めました。

本人もまんざらではなく、模試で毎回E判定だった公立の看護短大に猛勉強して合格しました。

入学式の日、他の初対面の新入生たちに「ソフトボールやりたいんだけど一緒にやらない?」と声をかけまくって、ソフトボールのサークルを立ち上げました。高校時代にできなかった野球(女子ばかりの短大なのでソフトボールにした)をどうしてもやりたい一心でそうしたのですが、彼女のキャラクターがよく表れた出来事です。

 

短大を卒業後、晴れて看護師として某医大が経営する川崎市内の総合病院に就職。院内で一番きつい脳外科病棟に配属されました。

何しろ受け持ちの入院患者はみな、脳卒中などで動けない人たちです。夜勤も多くて肉体的に大変だったようです。

3年後に小児科病棟に転属。これで高齢者と子どもとの、二パターンの看護のスキルを積みました。

しかし、体育会的キャラクターで働いてきた彼女も、大病院という組織内で滅私奉公させられる勤務体制が精神的に厳しくなってきたのでしょう。就職4年半で、「ピースボートで世界一周のクルーズに行きます」と言って病院を退職してしまいました。

私が九州に転勤する、ちょうど1年前のことです。

 

病院を辞めて独身寮を出され、母が一人で住んでいる私の自宅(私たち家族は教会の方に居住)に転がり込んだものの、彼女はやはり人と関わって働き続けたかったようで、申し込んでいたクルーズはキャンセル。あるネットワークビジネスにのめり込みました。

どんな相手にも物おじせずに食い込んでしまうキャラですから、営業力は抜群です。何よりも、組織や上司に縛られないことが彼女に合っていたようです。

 

1年経って私は九州に転勤。同居していた当時大学生の次女を母のところに住まわせることとし、長女には「お前は学生じゃないんだから、ウチから出て行って看護師の仕事をしろ」と告げました。

それで彼女が見つけてきたのが訪問看護の仕事。勤務はシフト制で夜勤はないし、上司はいないし、高齢者の看護は大病院で鍛えられたので彼女には楽勝です。

何より時間に余裕ができるので、やりたいことにいろいろ挑戦できるのが良かったようです。

 

それから2年経ち、彼女は「看護師資格を持つフリーランス」という立場で、いろいろなことをやっています。

訪問看護は高齢者だけでなく、病児も引き受けています。小児科での勤務経験を生かしています。

さらに看護師の人材派遣会社にリクルーター登録して、就職希望者へのコンサルティングや、医療機関との折衝もやっています。

 

日曜日に会った時は、いよいよ自分自身で訪問看護事業を起業するつもりで、共同経営者を探しているところだと言っていました。開業の要件は看護師の有資格者が3名以上なのだそうです。

短大のソフトボールサークル設立の時のように、人を捕まえるのが得意ですから、近いうちに実現するでしょう。

 

長女は先週末に結婚した姪(彼女には従妹)とは1歳年上の28歳ですが、とにかく仕事が好きで恋愛とは無縁のようなので、彼女に関して私は「花嫁の父」にはなれそうもありません…