九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。2019年から九州全域を担当しています。

阿蘇山が噴火

今日は在宅で仕事をしていましたが、正午前にNHKの天気予報とニュースを見ようとテレビをつけたら、ちょうどその直前に阿蘇山の噴火が始まったということを報じていました。

 

ニュースでは観光地の草千里の駐車場からライブ映像を流していましたが、そこからわずか数キロの火口から巨大な噴煙が上がっていて、これはとんでもないことになったと思いました。

特に火砕流が発生して、人がいる方に来ると大惨事につながりかねません。ちょうど20年前の91年6月に発生した雲仙普賢岳の大火砕流では43人もの犠牲者が出ています。

また、草千里の駐車場にはかなりの車が停まっていましたので、登山に向かった人も少なからずいただろうと思いました。2014年9月の御嶽山の噴火では登山者63人が犠牲になりましたが、無防備で山道を歩いていて突然噴火が起きたら逃げようがありません。

後で、登山者は16人いたが、全員無事が確認されたと報道されましたので安堵しました。

 

私は今年の3月、阿蘇に桜を見に行っていますが、青空に映える阿蘇雄大な景色は平和そのもので、心が洗われるようでした。それが一転して人類に牙を向けるのですから、自然というのは恐ろしいものです。

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阿蘇山と桜(2021年3月)

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阿蘇村からの見る阿蘇山(2021年3月)

 

その後の報道によれば、今日は噴煙が3500mまで上がり、火砕流も1.3㎞発生したとのことですが、人が住んでいる市街地には影響がなかったようです。また、熊本空港は阿蘇山の近くにありますが、飛行機や鉄道も正常に運行されているようです。

しかし、噴煙と火山灰はただの煙ではなくて、基本的に砂や砂利と同一のものですから、それが広範囲に降り注ぐことで、露地栽培野菜の生産農家は大変なことになるのではないかと心配しています。

また、阿蘇熊本県で一番の観光地ですが、先月末でまん延防止措置が解除され、ようやく観光客が戻ってきたのに、7月に土石流のあった熱海同様、風評被害が拡大したら人が来なくなるのではないか、とも思います。

 

しかし、よく考えてみると阿蘇山は他の九州の山々、例えば雲仙岳霧島山桜島などと同じく活火山であり、いつ噴火してもおかしくないのです。私が行った時の平和な阿蘇の方が実は「裏の顔」なのかも知れません。

今回の噴火は5年前の2016年10月以来の規模とのこと。その半年前の4月に震度7熊本地震が発生し、熊本全県が壊滅的な打撃を受けて今もなお復興途上なのですが、この地震阿蘇山の噴火は相互に関係があったと考えられています。

今回の噴火が再び大地震を起こす可能性があるかどうかは分かりませんが、阿蘇から遠く離れた人吉でも影響が及ぶかも知れませんので、災害への備えは怠らないようにしようと思っています。