今日は「日本マラソンの父」と呼ばれた金栗四三氏が、1891年8月20日に生まれて130年となる日です。
金栗氏はわが熊本県が生んだ著名アスリートとして、人吉出身の川上哲治氏と並ぶ人だと思っています。ちなみに川上氏は1920年生まれで、昨年が生誕100年でした。
金栗氏は2019年のNHK大河ドラマ「いだてん」の主人公でしたので、それで広く知られるようになったと思います。
彼は1912年のストックホルム五輪に日本が初めて参加した時のマラソン代表選手であり、また1920年に箱根駅伝を開催したことで、陸上の長距離リレー競技としての「駅伝」の概念を創始したことは、大河ドラマでも描かれていました。
本人の本職(?)は学校教師ですが、戦後の1946年に創立された熊本県体育会(現・熊本県体育協会)の初代会長、1948年に熊本県の初代教育委員長を務めています。また、熊本市の県陸上競技場の名称「KKウィング」の「KK」は「KanaKuri」にちなむものです。
つまり、熊本県では昔から「熊本出身アスリートのレジェンド」に位置づけられてきた方です。
今日は金栗氏が住んでいた玉名市で、地元の人々が雨の中、金栗氏の墓(金栗氏は池部家に養子に入ったので正確には池部家の墓)を掃除。玉名高校陸上部員が墓参したことがNHKのローカルニュースで報じられていました。
金栗四三の生誕130年 玉名市で地元の人が遺徳しのぶ|NHK 熊本県のニュース https://t.co/wPRKZuu37G
— 九州の正教会 日本ハリストス正教会九州管区 (@ocjkyushu) 2021年8月20日
私は九州に着任直後の2019年11月、和水町の金栗氏の生家と玉名市の旧宅とお墓を訪ねました。
金栗氏の生家は築200年ほどの大きな農家。つい数年前まで親戚(金栗氏の長兄の孫)が住んでいましたが、その方が亡くなって和水町に寄贈されました。そして「いだてん」放映に合わせて、町が整備して特別公開していたのです。
玉名市の旧宅は金栗氏が養子に行った池部家の屋敷で、120年ほど前に建てられた家をリフォームしたものです。金栗氏の長女の政子さんが2012年に亡くなった後は空き家となり、現在は一般に公開されています。
金栗氏の墓は旧宅のある集落の裏山にあります。玉名市のレジェンドだけあって、墓地に行く道には標識が立っています。
お墓の前には本人の揮毫による「体力 気力 努力」の石碑が建てられています。
金栗氏は1983年、92歳で亡くなりましたが、最晩年まで散歩を日課にし、鉄道に乗る時も7㎞先の玉名駅まで歩いていたそうです。
また、妻のすやさんは91年に100歳で永眠。亡くなった子どもたちの享年も墓誌に書かれていましたが、みな90代でした。やはり健康と長寿のDNAってあるんだなあと感心した記憶があります。
さて、金栗氏とは直接関係ないのですが、上記の金栗氏の生家近くに日本酒の蔵元「花の香酒造」があります。
東北や北陸などの酒どころと比べると、九州南部は酒造りに環境が合わないせいか、熊本県内に日本酒の蔵元は10軒しかありません。
その熊本の地酒の中で、私はこの花の香酒造が造る酒を一番気に入っていますが、生産量が限られているので特約店でない一般の酒屋では手に入りません。そのため、蔵が新酒や限定酒の売り出しをネットに広告した時は、出張のタイミングに合わせて花の香酒造まで直接買いに行っています。
私自身は陸上どころか、スポーツとはまるで縁がありませんが、花の香の酒を通して和水町、さらには金栗四三氏と今も繋がっているのかも知れません。