昨日は鹿児島の宝山ホールへ。
霧島国際音楽祭のメイン公演ともいうべき、キリシマ祝祭管弦楽団の演奏会を聴くためです。
このオケは音楽祭のために、国内のプロオーケストラのコンサートマスターや首席奏者を集めて編成したもの。そこに音楽祭のマスタークラスを受講している若手奏者がジョイントしています。
指揮は鈴木優人さん。プロ野球のオールスターのようなオケです。
チケットを買った時から聴くのが楽しみでワクワクしていました。
鈴木優人指揮
— 宝山ホール【公式】 (@houzanhall01) 2021年7月27日
「キリシマ祝祭管弦楽団」公演
「ベト7」と上原彩子の「皇帝」
いよいよ明日公演!!!
7月28日(水) 19:00開演!!!
18:15 開場 (18:50〜プレトーク)
当日券は
18:00〜販売します!!!!!#霧島国際音楽祭 #宝山ホール #キリシマ祝祭管弦楽団 #鈴木優人 #上原彩子 pic.twitter.com/q4cqMWJLMw
鹿児島に着いた時は開場時間までかなり余裕があったので、ホールの周りを少し歩きました。暑かったですが。
宝山ホールは鹿児島市の中心地、島津氏の居城・鶴丸城の向かいにあります。周囲には、明治から戦前にかけて建てられた豪華な洋風建築がたくさんあり、ヨーロッパの街を歩いているような気分になります。
さて、ホールに入って19時に開演。一曲目はシューベルトの交響曲第8番「未完成」です。
速度は速めで、明るめの音作り。若々しい印象です。
私自身は、この曲をゆっくり演奏されると曲調がおどろおどろしくなってしまい、好きではありません。ですので、自分にはとても心地よく聴けました。
二曲目はベートーヴェンの交響曲第5番「皇帝」。ピアノのソリストは上原彩子さんです。
彼女は2002年の第12回チャイコフスキー国際音楽コンクールピアノ部門で、日本人として、かつ女性として初めてグランプリを獲った人です。しかも、ピアノをヤマハ音楽教室で学んだだけで、音大を出ていません。
彼女の録音も何枚か持っていますが、技術力で聴かせるよりも自然に歌心が沸き上がってくるような演奏をするタイプです。天才肌なのでしょう。
今回の演奏も素晴らしかったです。オケはかなり速めで力強さを強調した演奏でしたが、ピアノがオケと一緒になっている箇所はオケの方にテンポをしっかり合わせ、ソロになる箇所では自分のテンポで、ルバート気味に歌うように弾くのです。
その自由自在さがとても良かったです。
最後はベートーヴェンの交響曲第7番。これでもかと言うくらい有名な曲が続きます。
ワーグナーはこの曲を「舞踏の神化」と呼んだのは有名な話ですが、マエストロも曲全体を「舞曲的」に統一しようとしていたのが感じられました。
この交響曲は、終始「タンタタ タンタタ」というリズムを、楽章ごとにテンポや調性を変化させているのですが、マエストロはちょっとスタッカート気味の軽快な感じにしていました。
第二楽章をテヌート気味に演奏する指揮者もいますが、私にはそれが葬送行進曲みたいに聞こえてしまい、好きではありません。鈴木マエストロの演奏では王宮の舞踏会のように優雅でとても好感が持てました。
そして第四楽章。速度指示はアレグロ・コン・ブリオですが、完全にプレストでした(笑)。こんなに速く振ったらオケがズレちゃうでしょ、と思いましたが、さすが一流の奏者が集まっているだけあって全くズレませんでした。
そのまますごい迫力で終了。コロナ対策で「ブラボー禁止」のため、手を叩くしかないのですが、私も他の聴衆も熱狂しました。
アンコールの後は聴衆の拍手とともにヨハン・シュトラウス一世の「ラデツキー行進曲」。ウィーンフィルのニューイヤーコンサートみたいなノリで、21時半に終演しました。
今回の演奏会はコロナが一旦収束した時期にチケットが販売されたためか、席の間隔を開けずにぎっしり聴衆で埋まっていました。
しかし、これまでコロナ禍でクラシックの演奏会の多くは中止となりましたし、今また感染が再拡大したことで、また演奏会ができなくなることも予想されます。
その意味で、今回はこういう良い演奏会を聴くことができたのはラッキーでした。
本当に早くコロナが収束して、音楽に限らずいろいろなエンタテインメントを楽しめるようになってほしいものです。