つい先日、セルビアの首都ベオグラードで建設が進められていた聖サワ大聖堂の内部のモザイク画が完成したと報じられていました。
私は2015年に初めてセルビアを旅してから、すっかりセルビアが好きになってしまい、それから3年連続で訪問。現地の教会や修道院をいろいろ訪ねています。
ちなみに、上の写真をアップしたサワ院長には、2015年の初訪問の時に大変お世話になっています。
セルビアは12世紀末にビザンチン帝国から独立した国で、東方正教の信仰に篤い民族です。しかし、わが国でセルビアと言っても「どこですか」と聞かれるのがしばしばなので、その時は「旧ユーゴスラビアです」と付け加えています。
ちなみにこの大聖堂が記念している聖サワ(Saint Sava)は、建国者ステファン・ネマニャ王の息子で、セルビア正教会の初代大主教です。つまりセルビア正教会の創立者であり、父のネマニャ王と並んで国内で大変崇敬されています。
セルビアは15世紀にオスマントルコに征服され、19世紀(わが国の明治維新と同時期)に独立するまで400年以上、イスラム教徒の圧政下にありました。そのため、セルビア人の正教信仰は民族のアイデンティティや独立心と結びついて強化されていったわけです。
聖サワ大聖堂は正教徒であるセルビア人の独立の、ある意味シンボルとして1935年に着工されました。しかし、ナチスドイツの侵攻と、戦後のチトー共産主義政権下で半世紀にわたって工事は中断。ユーゴ崩壊と内戦の後にセルビアが民主主義国になり、ようやく工事再開となりました。
私は2015年と16年の二回、聖サワ大聖堂を訪ねました。外部は完成していて立派でしたが、2016年の時点でも内部は工事中で、コンクリートの壁面がむき出しでした。
オスマントルコ、オーストリア(第一次大戦はもともとオーストリアのセルビア侵攻が端緒)、ナチスドイツ、共産主義体制、民族間戦争…数百年にわたって平和から遠ざけられていたセルビアの人々の悲願が結実したように思えて、私も感無量でした。
なお、セルビアにはたくさん思い出がありますが、書ききれないのでこの辺にしておきます。