九州の正教会

日本ハリストス正教会のグレゴリー神父です。熊本県人吉市から情報発信しています。

熊本教会の信徒総会~信徒の高齢化・減少時代にあって

今日は熊本ハリストス正教会に巡回。ご葬儀が入った関係で三日連続で人吉と熊本を往復しています。

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今日の熊本ハリストス正教会

主日聖体礼儀を終え、正午から信徒総会。

熊本教会は宗教法人ですので、総会を毎年開催して決算と役員人事を承認し、所在地の県庁に届け出る法令上の義務があります。

 

熊本教会は私の着任後、永眠した信徒があり、現在は所属信徒(信徒の定義は正教会で洗礼を受けている者)が2世帯3人しかいません。

高齢による体調不良などの理由で、今日はその3人は全員欠席。洗礼を受けていないご家族のみが出席しました。しかし、その人たち自身は教会の構成員である「信徒」でない以上、あくまでも議決権のないオブザーバーとしてしか扱えません。

私は宗教法人の代表役員であり、欠席者全員から議決権の委任を受けているので、法令上は総会は成立しているのですが、「信徒との話し合い」という本来の会議はできなかったことになります。

 

おそらく日本のキリスト教会は教派を問わず、信徒の高齢化と減少に多かれ少なかれ直面しているはずですが、わが熊本教会についてはまさに崖っぷちに立たされていることを、現実問題として突き付けられた感があります。

 

よく「もっと若い人が興味を持つようなイベントを打てばよい」とか「日本人だけでなく外国人を集めるべきだ」とか、皆さんはおっしゃいます。おっしゃるだけなら簡単ですし、確かに宣教の具体的な「手段」として大切な取り組みであることも間違いありません。しかし残念ながら、それらは宣教の「目的」にはなり得ないと考えます。

宣教は教えを広く宣べ伝えるだけでなく、その信仰を維持させ、さらに次世代にバトンタッチさせなくては意味がないからです。教会は目先のお金集めや内輪受けの自己満足のためにあるのではありません。

 

熊本教会は明治時代の開教以来、百数十年続いてきましたし、熊本市自体も政令指定都市に指定されており、人口の多い都会です。ですから、教勢のこれだけの著しい衰退には過去に何らかの原因があった可能性は考えられます。しかし、そういう「過去の落ち度」を詮索したところで、今さら何の解決にもなりません。

いま必要かつ実行可能なことは、既存の信徒との信頼関係をしっかり構築して、教会について理解してもらうと共に、未洗礼の家族にも信仰を継承してもらう地道な働きかけではないかと考えています。

 

私も九州に来てまだたった1年。今後も腰を据えてじっくり牧会に向き合っていきたいと思っています。